大阪府八尾市住民調査、18~79歳7,567人中4,185人感染
国立国際医療研究センター(NCGM)は10月16日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、成人における罹患後症状の頻度と関連要因を検討した結果を発表した。この研究は、同研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センターの磯博康センター長、堀幸上級研究員ら、大阪府八尾市保健所の研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Medical Virology」に掲載されている。
成人において、COVID-19の罹患後症状の頻度や関連要因について、非感染者との比較や流行する株による違いについては報告が限られていた。そこで研究グループは今回、成人におけるCOVID-19感染による罹患後症状の頻度や関連要因を明らかにするために、住民調査を実施した。対象は、大阪府八尾市在住の2021年3月~2022年4月までにHER-SYSに登録された18~79歳までの感染者と、性別・年齢等をマッチさせた非感染者である。
調査は2022年11月にWEB質問紙(60歳未満)または紙質問紙(60歳以上)を用いて実施。7,567人(感染者4,185人、平均年齢44.7歳;非感染者3,382人、平均年齢45.5歳)が回答した。感染者は、初回感染から平均271日経過し、3,511人(83.9%)が軽症者であった。
感染者の罹患後症状頻度は15%、ワクチン接種で半減
感染者における罹患後症状の頻度は、15.0%。非感染者における2か月以上遷延する症状4.4%よりも約3倍高い結果となった(性・年齢調整オッズ比:3.86、95%信頼区間:3.20〜4.64)。
また、感染時期別に罹患後症状の頻度を検討した結果、オミクロン株流行期における感染者は、アルファ株・デルタ株流行期の感染者と比べて、罹患後症状の発生が少ないことがわかった。さらに、女性、感染前に既往歴がある者、COVID-19急性期に入院ありの者において罹患後症状の頻度が高く、また、感染前に1回以上COVID-19ワクチンを接種していた者では、未接種者に比べて罹患後症状の頻度が半分だった。
今回の研究により、感染時期によって罹患後症状の頻度に違いがあることわかった。今後も、罹患後症状の持続期間や生活への長期的な影響を検討していく必要がある、と研究グループは述べている。
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・国立国際医療研究センター(NCGM) プレスリリース