医薬品医療機器総合機構(PMDA)はGMP指摘事例速報(オレンジレター)で、非無菌製剤製造所の製造部門において虚偽の記録作成など不適切行為を行っていたことを公表し、製薬業界に法令遵守を呼びかけた。当該製造所には厚生労働省のGMP省令に抵触するとして、不適切行為に至った原因調査と製品品質への影響評価を行うと共に、責任役員が品質システムの機能不全を検知できなかった原因調査等の実施も指示。今回の指摘事例を踏まえ、経営者や責任者に現場の実態を把握するよう確認を求めている。
指摘事例によると、製造部門が承認事項や手順書を遵守せずに作業し、虚偽の記録や作成を行っていたことが確認されたほか、一部の不適切行為に工場長や責任者が関与していたことが発覚。不適切行為は品質部門や製造管理者への報告が行われておらず、製品品質への影響評価も未実施だったほか、製造所は過去に製造管理・品質管理について総点検を実施していたが、一部が見逃されていた。
具体的な不適切行為として、正規の製造指図に基づかずに複数ロットの残粉末を用いた製造や追加乾燥を行い、適切な記録もなかったほか、追加発行した製造指図記録書の発行日時を過去の日時になるようバックデートして発行するなどしていた。
また、本来必要となる逸脱管理や変更管理が行われておらず、製品品質への影響評価、原因究明、是正措置、予防措置が未実施だったほか、品質保証部門による適切な出荷の可否判断が不可能な状況だったことなども確認されている。
これらの行為はGMP省令に抵触し、さらなる不適切行為が潜在している可能性があるとして、PMDAは不適切行為に至った原因調査・製品品質への影響評価を行うと共に、必要な措置を取るよう指示した。