DLM患者14.5%に大腿骨外側OCD併発、治療分析が不足
大阪公立大学は10月15日、外側円板状半月板(DLM)の手術を受けた15歳以下の患者の予後を5年以上にわたり調査した結果を発表した。この研究は、同大医学研究科整形外科学の飯田健病院講師、橋本祐介特任教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy」に掲載されている。
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DLMは先天的な半月板の形状異常で、アジア人に多い症状だ。離断性骨軟骨炎(OCD)は肘や膝などの関節内で軟骨がはがれ落ちるもので、成長期の小中学生に多く見られる。その発生率は大腿骨内側で85%、大腿骨外側では15%と外側での発生は比較的まれだ。DLMと大腿骨外側におけるOCDの発症には関連があり、DLMを持つ患者の約14.5%で大腿骨外側OCDが併発すると報告されている。しかし、これまでその治療に関する分析はほとんど行われていなかった。
15歳以下のDLM手術95症例、OCD発症・再発リスクを検証
今回の研究では、2003年~2017年の間でDLMに対して手術を行った15歳以下の患者のうち、術後5年以上の経過観察が可能であった患者76人(95症例)を対象に分析を行った。95症例のうち、大腿骨外側OCDを併発したDLM群(pre-OCD群)が15症例、大腿骨外側OCDを併発していないDLM群(non-OCD群)が80症例だった。評価項目は、年齢、性別、受傷前TAS、最終評価時TAS、手術方法(半月板亜全摘術、形成切除術、形成縫合術)、術前後Lysholm score、OCDの再発または術後発生率とした。
OCD再発または術後発生のリスク因子「年齢」、9歳以下患者で再発または発生リスク「高」
統計的手法である多変量解析の結果、年齢がOCDの再発または術後発生のリスク因子であり、9歳以下の患者においては、OCDの再発または発生のリスクが高いことが判明した。
9歳以下患者への手術、OCD再発または術後発生リスクを高める可能性
外来診療において、大腿骨外側OCDを併発したDLMは、治療法に悩むことが多い症状だ。今回の研究では、9歳以下の患者に対する手術が、OCDの再発または術後発生のリスクを高める可能性を示唆する結果となった。このような年齢層の患者には、すぐに手術を行わず、保存療法も考慮する必要があると考える、と研究グループは述べている。
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