エクソン53スキッピングで治療可能なジストロフィン遺伝子欠失確認DMD治療薬
日本新薬株式会社は10月11日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬「ビルテプソ(R)」(一般名:ビルトラルセン)の第2相試験(Galactic53試験)の結果が、「Scientific Reports」に掲載されたと発表した。
ビルテプソは、エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているDMD患者の治療薬。日本国内では条件付早期承認制度の対象医薬品となり、2020年3月に厚生労働省から承認され、同年5月から販売および情報提供活動を行っている。また、米国では2020年8月に米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を取得し、NS Pharma,Inc.を通じて販売している。
歩行可能/不能どちらの患者群でも呼吸機能改善を示唆
今回掲載されたデータは、DMD患者の呼吸機能に対する同剤の影響を初めて評価した第2相非盲検多施設共同試験(Galactic53試験)から得られたもの。エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されている、8歳以上の歩行可能および歩行不能なDMD患者、各10例に対して、同剤80mg/kgを週1回、48週間静脈内投与した。主要評価項目として安全性を、副次評価項目の有効性として呼吸機能や運動機能を評価した。呼吸機能については、患者背景を一致させた自然歴データを対照群として用いて比較した。
安全性について、同試験で観察された有害事象はすべて軽度または中等度で、4件が同剤に関連したものと考えられた。有害事象による投与中止例はなく、同試験で観察された有害事象プロファイルは以前の試験で報告されたものと一致していた。有効性について、歩行可能患者と歩行不能患者の両方において、同剤投与群の49週時点の予測努力性肺活量(FVC%p)と最大呼気流量(PCF)は、コントロール群と比較して高値を示し、呼吸機能の改善が示唆された。
予測努力性肺活量(FVC%p)に関し、歩行可能患者における同剤投与群10例中9例(90%)は、投与開始前のベースラインと比較してFVC%pの増加または維持を示し、すべての患者が49週時点でFVC%p>50%を維持していた(FVC%p<50%になると、咳介助や夜間の非侵襲的換気の開始が推奨される)。歩行不能患者においても、同剤投与群10例中9例(90%)は、投与開始前のベースラインと比較してFVC%pの増加または維持を示し、10例中6例(60%)の患者が49週時点でFVC%p>50%を維持していた。また、同剤投与群の運動機能を評価した上肢運動機能評価スコア(PUL2.0)は、歩行可能患者、歩行不能患者ともに治療期間を通じて維持されていた。
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・日本新薬株式会社 プレスリリース