福岡資麿厚生労働相は8日の閣議後会見で、サンドの長時間作用性局所麻酔剤「アナペイン注」(一般名:ロピバカイン塩酸塩水和物)の限定出荷が続いている現状を踏まえ、8月に薬事承認されたテルモの後発品が年内にも供給開始される見込みであることを説明した。
アナペインをめぐっては、海外の旧製造所との契約終了により国内の新規製造所への製造移管を進めていたが、製造設備に不具合が生じて移管スケジュールに遅れが発生したため、今年6月から限定出荷を始め、7月から出荷量が減少している。
限定出荷を踏まえ、日本麻酔科学会が各医療機関に対して、医療行為として帝王切開術や無痛分娩への使用を優先するよう要請している一方、現在も供給量が回復する見込みは立っていない。
アナペインをめぐる現状について、福岡氏は「製造トラブルにより全ての受注に対応できていない状況は承知しているが、供給再開に向けて必要な薬事手続きを進めていると聞いている」と言及。
その上で、8月にテルモの後発品「ロピバカイン塩酸塩0.75%注150mg/20mL『テルモ』」が承認されたことにも触れ、「薬価収載等も含めて年内には供給開始される見込みとなっており、医療現場の声を踏まえつつ、品質の確保された医薬品を安定的に患者のもとに届けられるようにしたい」との考えを示した。
アナペインなど1社製造の医療用医薬品が出荷制限された場合の対応として、福岡氏は「万が一の時の安定供給をどうしていくかは重要課題であり、供給不足が起こらない仕組みをしっかりと構築していきたい」とした。