リザトリプタン、スマトリプタン、エレトリプタン、ナラトリプタン、ゾルミトリプタンのトリプタン系片頭痛剤5成分をめぐっては、2017~18年にかけて同会議でOTC化の可否を検討したものの、▽患者が自分の症状が片頭痛によるものと判断することが容易でないこと▽頭痛診療の場においてMOH患者が多く、原因の一つがトリプタンと指摘されたこと――などを理由にOTC化が否決されていた。
その後、同会議の目的が「OTC化する上での課題点を整理して解決策を検討すること」に変更されたことから、改めて5成分のOTC化に向けた課題を洗い出すこととした。
日本OTC医薬品協会は、店頭で鎮痛剤服用の有無、期間、頻度を確認し、使用過多による症状であることが疑われる場合は医療機関の受診を促すこと、短期間の服用にとどめるよう服薬指導と包装単位を小包装にすることもMOH回避に効果的との見解を提示。
その上で、医師から片頭痛と診断された人が再発し、かつ症状が安定している人に限定してトリプタンのOTC薬が選択肢となるなど、OTC化の意義を強調した。
しかし、日本頭痛学会など3学会と1医会は、MOHによる頭痛症状の重症化と慢性化で患者のQOLが低下することなどを懸念し、17~18年時と同様にOTC化に反対する見解を示した。
富永孝治構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「薬剤師による症状の鑑別は難しく、その際は医師への受診を強く促しているが、患者は片頭痛で生活に支障が出ている」として、受診を条件としたOTC化が適当とした。
他方で、服用歴や既往歴の確認を担保する方法が課題と指摘し、「どの成分を服用しているか確認できた上で最小容量の製剤をOTC化すれば、QOL改善が可能ではないか」と訴え、少量単位のOTC化に賛同する声が相次いだ。
これに対し、宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は「OTC化してはならないということではない」と断った上で、「薬剤師が責任を果たさずにOTC化はあり得ない。服用した人が不調な場合、どの医療機関に行けば良いか教えるのが受診勧奨だ」と迫った。
構成員の意見を踏まえ、笠貫宏座長(早稲田大学総長室参与)は、5成分について「要指導薬として必要で、OTC化に向けて医師の診断が必要ということは共通していた」と総括。「医師の受診をどう確認・担保するか、処方歴や受診歴等の確認は今後の対応」などとまとめ、「検討会議での議論」としてパブリックコメントで示すことにした。
■アダパレンは賛同多数
一方、尋常性ざ瘡(ニキビ)治療剤のアダパレンについては、9月のパブコメ募集後の対応策を検討し、パブコメでOTC化に賛同する声が多数だったことなどを踏まえ、「OTC化は妥当」と判断した。
また、厚労省はOTC化の候補成分として、インフルエンザ治療剤のオセルタミビル、ラニナミビルなど7成分がOTC化の要望に上がっていることも公表した。
医療用としての使用実績、副作用発生状況等を収集・整理した上で、検討会議に提示する予定となっている。