予後改善にも役立つImpella、今後ますます広く用いられる可能性
名古屋大学は10月1日、経皮的に挿入可能な新規の循環補助用ポンプカテーテルImpella(インペラ)を要する心原性ショックの高精度予後予測モデル構築に成功したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科循環器内科学の近藤徹病院助教、室原豊明教授、心臓外科学の六鹿雅登教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「European Journal of Heart Failure」に掲載されている。
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心原性ショックは、しばしば救命のために機械的循環補助が必要になる。しかし、心原性ショックは致死率の高い病態であり、特に機械的循環補助を要する場合の院内死亡率は高く30%を超える。近年、Impellaが心原性ショック治療のための新たな機械的循環補助の選択肢に加わり、すでに広く臨床で用いられるようになっている。近年の研究では、通常治療に加えてImpellaを用いることで予後が改善する報告もあり、今後ますます広く用いられる可能性が高い。
一方、重篤な心原性ショックの治療方針決定には正確な予後予測が必須だが、これまでImpellaを要する心原性ショックの高精度の予後予測モデルはなかった。
Impellaを要する心原性ショック患者の治療を行う際の方針決定に役立つ可能性
研究グループは今回、Impella症例を全例収集した全国レジストリである「J-PVADレジストリ」のデータを用いて、高精度の予後予測モデル「J-PVAD risk score」の開発に成功した。同予測モデルは、日常診療で用いられる指標で構成されるため、広く診療で用いることが可能だという。
「Impellaを要する心原性ショック患者の治療を行う際に「J-PVAD risk score」を用いることが臨床医の方針決定のサポートとなる。今後、この予後予測モデルが広く用いられるように啓発活動を行っていく」と、研究グループは述べている。
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