肥満症の認知率は全体で8.7%、「50代以降」「肥満症の疑いあり」で向上率高く
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は9月30日、「肥満」と「肥満症」に関する意識実態調査を実施し、その結果を発表した。同調査は、2021年より毎年同社が第三者調査会社を通じて実施しているもの。調査期間は2024年6月27日~7月8日、対象は47都道府県それぞれにおけるBMI25以上の20~75歳の男女各100人(各都道府県の該当者を合計200人ランダムに抽出、全国合計9,400人)、インターネット調査として行われた。
肥満症の認知率は8.7%(前年比+0.4ポイント)と、前年比で若干向上したが、ほぼ横ばいとなった。しかし、「50代以降」で9.6%(前年比+0.6ポイント)、「肥満症の疑いあり」で10.8%(前年比+0.6ポイント)と、この2つの層では全体よりもポイントの向上率が高く、認知が徐々に広まっていると考えられた。向上率が低かったのは50代以下で、20~40代は7.5%(前年比+0.1ポイント)だった。
なお、2023年度までは肥満症の認知率を、肥満と肥満症の違いを「よく知っている」「知っている」「聞いたことがある」までを「認知」として集計していたが、2024年度は「よく知っている」「知っている」を「認知」として考え、過去の結果も2024年の考えに合わせて再集計している。
高年層は、肥満症の疑いありでも肥満症の自覚なし61.8%
今回の調査において、肥満症の自覚率に関しては、肥満症の疑いありで「肥満症の自覚なし」が高年層(60代以上)61.8%、若年層(20代~40代)19.4%となった。また、医師への相談意向に関する結果は、肥満症の疑いありで「相談したくない」が、高年層38.2%、若年層29.6%だった。
高年層は若年層よりも肥満症という病気を認知しているにも関わらず、肥満症の疑いがある自覚が低く、同時に、自身の肥満に関して医師への相談意向が低い傾向にある。理由として、高年層は「肥満は自己責任だと思うから」と回答している人が他世代と比較しても多いため(高年層43.8%、若年層36.5%)であると考えられる。
自身の肥満について医師に相談しない理由、高年層と若年層で異なる
一方、若年層は肥満症の自覚は高く(若年層・肥満症の疑いありで、肥満症自覚率33.0%)、医師への相談意向は高年層と比較して高い傾向にあるが(肥満症の疑いありで、医師へ相談したいと回答した人、若年層34.7%・高年層25.8%)、自身の肥満に関して医師に「相談したくない」と回答した理由が、高年層と異なることもわかった。
若年層が医師への相談を行わない理由の1位は「お金がかかるから」38.3%(高年層20.2%)、次に、「肥満は自己責任だと思うから」36.5%(高年層43.8%)、3位は「恥ずかしいから」27.8%(高年層7.4%)となった。
また、自身が肥満症であることに対する「自覚あり」の人では、肥満に関して医師への相談意向が高い傾向がわかった(医師への相談意向が「相談したい」の割合:肥満症「自覚あり」40.0%、「自覚なし」24.5%)。一方、自身が肥満症であるという自覚があっても、肥満症に関する情報検索行動を行ったことがない人が半数近くいるという結果も出た(「肥満症の情報を調べたことがない」人の割合:肥満症「自覚あり」44.2%、「自覚なし」61.3%)。
認知度の最高は大分県、検索行動を取った人も最多の県
調査結果を都道府県別で比較した。肥満症の認知率に関して、認知率が比較的高い傾向にあったのは大分県(13.5%)、秋田県・長崎県・宮崎県・沖縄県(11.5%)だった。一方、認知率が低かったのは山形県(5%)、滋賀県・福岡県(5.5%)などだった。
自身の肥満に関する医師への相談意向に関して、「相談したい」と回答した人の割合が多かったのが熊本県(33.1%)、鳥取県(32.2%)、三重県(31.8%)などだった。一方、「相談したくない」と回答した人の割合が多かったのは青森県(53.9%)、福岡県(53.1%)、香川県(50.9%)などだった。
肥満症に関する検索行動に関して、最も検索行動を行った割合が多かったのが、大分県(54.6%)、三重県(52.6%)、山形県(51.5%)などだった。また、すべての都道府県で、情報の入手先として最も多かったのは「テレビ」だった。多くの県では、情報入手先の2番目に「検索サイト」「ニュースサイト」が挙げられているが、岩手県、山形県、東京都、長野県、滋賀県、京都府、大阪府、広島県、香川県、佐賀県の10都府県では情報の入手先の2番目に「かかりつけ医」が入った。中でも東京都(18.6%)、山形県(14.1%)、京都府(13.1%)で回答した人が多かった。
同社肥満症事業本部の清水真理子本部長は「弊社は、肥満症治療への取り組みを行う企業として、肥満症治療の専門施設があることや、肥満症は医師に相談ができる疾患であるという認知をより広げていくことはもちろん、治療によって減量効果だけではなく患者の生活におけるQOLの改善を目指すことができるというメッセージを強く発信する必要があると考えている」と、述べている。
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