政府の規制改革推進会議健康・医療・介護ワーキンググループ(WG)は9月30日、改正医薬品医療機器等法の見直しに関する議論で提案されている一般用医薬品のリスク区分統合について議論した。第2類と第3類の区分統合について、実効性と有効性に対して疑義を呈する声が相次ぎ、専門家による販売時の関与の定義を明確にするよう求める声も出た。
販売制度見直しをめぐっては、第2類と第3類の区分を統合して「薬剤師または登録販売者が販売する医薬品」とすることが提案されている。現在の第2類・第3類では販売時の専門家の関与を義務としているが、区分統合した場合は「関与の際に必要に応じて実施すること」を明確化することとしている。
この日のWGで厚生労働省の佐藤大作大臣官房審議官(医薬担当)は、区分統合について「現行の区分で不利益が生じているから見直すのではなく、購入者への情報提供として何を改善すべきかの議論だ。統合するかどうかも決まっていない」と説明した。
しかし、専門委員は連名の意見書を公表し、区分統合に対して「必要性と有効性は乏しく、現行の区分を維持すべき」と訴えた。
桜井なおみ専門委員(全国がん患者団体連合会理事)は、「統合すれば現行の第3類の購入者も自分の情報を全て公共の場で伝えることとなり、苦痛を伴う」として、規制強化につながることも懸念した。
ヒアリングで意見表明した昭和薬科大学臨床薬学教育研究センターの渡部一宏教授も、「現行の個別の医薬品(成分・製品)の安全リスクを再評価し、現行の区分を維持・見直すかどうか結論を出すべき」と提案。販売時の専門家の関与に関しても「具体的に何を指すのか、義務・努力義務の有無を明確にすることも必要」とした上で、区分統合は時期尚早とした。
佐々木淳専門委員(医療法人社団悠翔会理事長)は、「必要に応じて関与とすると全例での確認が必要となり、現行の第3類は実質的な規制強化となる。区分の再編が必要か疑問で、関与の定義を明確にすべき」と求めた。
これらの意見を踏まえ、佐藤氏は「関与の中身について指摘された点をより具体化した形で、制度部会で検討したい」と回答した。