「統合失調症」「既存治療が有効ではないうつ病・うつ状態」に続く3つ目の適応承認
大塚製薬株式会社は9月24日、抗精神病薬「レキサルティ(R)(一般名:ブレクスピプラゾール)」について、国内初となる「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能効果の承認を取得したと発表した。同剤の国内における効能は、「統合失調症」「うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)」に加え、3つ目となる。
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レキサルティは、大塚製薬が創製した独自の薬理作用を有する化合物。海外ではルンドベック社と共同開発し、2015年に米国で「成人の大うつ病補助療法」と「成人の統合失調症」の効能で承認され、現在、日本を含めた約60の国・地域で展開されている。2023年5月には、米国で初めてとなる「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の治療における効能追加の承認を米国FDAより取得した。「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」の効能については、2024年8月時点でカナダ、フィリピン、台湾でも承認されている。
介護者の負担を大きくするアジテーション、アルツハイマー型認知症患者の約半数で確認
今回国内で取得した効能は、米国をはじめとする海外では「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション」として承認されている。国際老年精神医学会において、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションは、攻撃的な症状と非攻撃的な症状を含み、同じ動作の反復などの活動亢進、攻撃的発言または攻撃的行動のうち少なくとも1つ以上の症状からなり、当事者の日常生活、社会生活、人間関係のいずれかに支障を来した状態と定義されている。
これらの症状は、アルツハイマー型認知症の約半数で認められ、介護者の負担を重くし、当事者や家族・介護者の生活の質を低下させるとともに、家族と同居できず介護施設へ入居せざるを得ない要因の一つとなっている。
国内P3試験で有効性と安全性を確認、患者と介護者にとっての転換点となることに期待
同剤の国内P3試験では、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する55~90歳の410人を対象に、ブレクスピプラゾール(1mgまたは2mgを1日1回)を10週間投与し、有効性と安全性を評価した。ブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群はプラセボ群と比較し、いずれも主要評価項目であるCMAI合計スコアにおいて、統計学的な有意差をもって有効性を示した。また、臨床全般印象・重症度スコア(CGI-S)など、副次評価項目においても、プラセボ群と比較してブレクスピプラゾールの1mg群および2mg群で改善が認められた。同試験においてブレクスピプラゾールは全般的に良好な忍容性を示し、新たな安全性の懸念は認められなかった。
同社は、レキサルティの効能追加は、アルツハイマー型認知症患者と介護者の双方にとって重要な転換点となることが期待される、と述べている。
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