厚生労働省は20日の通知で、臨床試験においてモバイルデバイス、ウェアラブルデバイスなど情報通信機器(ICT)等を用いて被験者からデータを収集し、有効性・安全性の評価を行う場合の留意点をまとめ公表した。来院に依存しない分散型臨床試験(DCT)に対応したガイダンスとなっている。
利用場面として、▽治験責任医師等が情報通信機器等を使って被験者の問診、診察を行ったり、被験者が自ら情報通信機器等を使用して症状を申告する▽被験者が自らウェアラブルデバイス等の情報通信機器等を使用してデータを治験責任医師等に送信する――の二つを例示した。
治験開始前に実施の妥当性を検討するよう求め、妥当と判断した場合には治験実施計画書に規定し実施して差し支えないとした。
従来の試験と比べ来院頻度が減少し、被験者の安全性を確認する機会が減る場合があるため、治験依頼者は被験者に対する緊急時の対応手順を予め定め、治験実施計画書等に反映し適切な対策を講ずるよう求めた。
また、被験者等本人ではない者があたかも本人であるかのように不正に入力・修正等を行うなりすまし行為など臨床評価に伴うリスクがあるため、利用者本人の確認方法を規定することにした。モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等から得られるデータは、GCP省令の規定を遵守し、保存を求めた。
治験責任医師等は治験の関係者や被験者などに対し、情報通信機器等を用いた評価に伴うリスクや妥当性、モバイルデバイスやウェアラブルデバイス等の利用方法などについて説明するよう求めた。