厚生労働省は25日、2025年度薬価改定に向け、24年度薬価制度改革実施後の補正加算の適用状況を、中央社会保険医療協議会薬価専門部会に報告した。前年度より加算率の合計が50%以上の成分数が増え、充実が図られた小児加算の加算率5%以上が付与された成分数も増加した。委員からは、改革によるイノベーション推進が評価される一方、国民皆保険制度の持続性とのバランスを考慮するよう求める声が相次いだ。
24年度改革では新薬収載時の補正加算として、小児加算の充実、日本に迅速に導入された品目を評価する迅速導入加算の新設などが行われた。
4~8月に新規収載された76成分における補正加算の適用状況を見ると、加算率の合計は5%が9成分(全体の19.7%)と最多を占めた一方、合計加算率50%以上の成分は8成分で、このうち90%は1成分と前年度より50%以上の成分が7成分増えた。
小児加算適用成分は前年度から8成分増の12成分(15品目)で、治験実施の困難さなどを踏まえ、加算率5%が3成分、10%が4成分、15~20%が5成分と、加算率5%以上が付与されるケースが見られるようになったとした。
診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「業界の意見が反映され、イノベーション評価が強く推進された」と述べた。
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)も「イノベーションは十分に評価されているが、25年度改定では国民皆保険制度の持続可能性とのバランスをより強く意識すべき。市場実勢価格に基づく改定にとどまらず、薬価改定のルール全般について検討すべき」と求めた。