同分科会は、予防接種法に基づくコロナワクチンの特例臨時接種が2023年度末で終了したことを踏まえ、24年度以降の接種について65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人を対象に、重症化予防を目的に年1回秋冬に実施する方針を了承している。
厚生労働省の「新型コロナウイルスワクチンの製造株について検討する小委員会」では、世界保健機関(WHO)の推奨と同様、1価のJN.1系統を24年度定期接種で使用するワクチンの抗原とすることを5月に決定した。現時点でJN.1系統対応1価ワクチンは、ファイザー、モデルナ、第一三共、武田薬品、Meiji Seika ファルマの5社が承認を取得している。
諸外国では、既感染率やコロナワクチンの接種率を考慮して1回接種の用法・用量としており、初回接種・追加接種を区別せず、追加免疫を主体として添付文書を記載している。
これらを踏まえ、厚労省は今年度の定期接種期間を10月1日~2025年3月31日とし、5社のJN.1系統対応1価ワクチンを使用する案を提示。初回接種と追加接種の区分を設けず、1回接種にするとした。
委員から反対意見は出なかったものの、Meiji Seika ファルマのmRNA(レプリコン)ワクチン「コスタイベ」については、作用機序をめぐる根拠不明な言説がインターネット上で見られることを指摘する声が相次いだ。
厚労省は、「他人に伝播するとの科学的知見はなく、体内におけるmRNAの自己増幅は一時的なもので、mRNAと抗原蛋白が一過性に発現後は経時的に消失することが非臨床試験で確認されている。これを国民に周知したい」と説明した。
笹本洋一委員(日本医師会常任理事)は、「製造販売業者は承認後も新規情報を公表する責任があり、医療機関と国民への分かりやすい情報提供を求めたい」と述べた。
伊東亜矢子委員(三宅坂総合法律事務所弁護士)は、接種者への診療を拒否する医師が見られることを懸念し、「(医師法第19条に基づく)応召義務違反だと思うが、誤解を生まないよう科学的知見に基づく周知を徹底してほしい」と訴えた。
厚労省は、医師法への抵触について「正当な事由の有無、患者の容態に応じた緊急性など様々な事情を勘案して個別具体的に判断するものであり、一概に回答するのは困難」と述べるにとどめた。