HIV感染症に特化したグローバル製薬企業として事業を展開
村木基氏(ヴィーブヘルスケア提供)
グラクソ・スミスクライン、ファイザーによって2009年に設立され、2012年に塩野義製薬が資本参加したヴィーブヘルスケアは2024年9月10日、社長会見を開いた。
HIV感染症に特化したグローバル製薬企業である同社では、「HIVとともに生きる人を誰ひとり置き去りにしない」をミッションに掲げて事業を展開している。代表取締役社長の村木基氏は、ミッションを実現するための同社日本法人の4つの取り組みとして、①全社員、顔の見える関係性、②ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、③長年にわたるHIVコミュニティとの連携、④海外との強力な連携、を紹介。「当社において日本は重要な国の一つという位置づけとなっている。日本におけるニーズやHIV陽性者が置かれている状況を適切に把握するとともに、グローバルと連携して最新情報を得ながら事業を展開していきたい」と説明した。
革新的な超長時間作用型の製剤開発に取り組む
渡邉智幸氏(ヴィーブヘルスケア提供)
会見では、同社メディカル・アフェアーズ部門長の渡邉智幸氏も登壇し、HIV感染症の現状と最新データアップデートと題して報告を行った。
渡邉氏によると、HIV感染症に関する共同コホート研究の結果、2008~2010年にHIV感染症治療を開始した20歳の患者(欧州および北米)は、平均で78歳を迎えると推定されているという1)。「以前は不治の病とされていたが、最新の治療により平均寿命まで生きる方が増えていくことになる。しかし、これまでにHIVが治癒した症例は7例しかなく、生涯長きにわたって治療を続けていかなければならない。有効性が高いだけではなく、長期服用時の薬剤関連リスクが少ない、薬剤耐性を生じにくい、副作用が少ない、日常生活への負担が少ない簡単なレジメンなどがこれからのHIV治療には期待される」と渡邉氏は述べた。
さらに同社が今年7月に公表した治験中のインテグラーゼ阻害剤(INSTI)VH4524184(VH184)について言及し、「抗ウイルス活性を保持し、第二世代INSTI耐性に対抗する作用があることを示すin vitroの結果が得られた。当社では、革新的な超長時間作用型の製剤開発を軸に、HIVとともに生きる人々が自分らしく生活できることを目指して取り組んでいきたい」と意欲を見せた。
UNAIDSの目標達成への貢献を目指す今後の事業展望
会見の最後に村木氏は、①生涯続く治療におけるアンメットニーズに応じた医薬品の開発、②オムニチャネルによる迅速かつ効率的で相手に合わせた情報提供スキル、③HIV/AIDS流行終結を見据えたHIV検査機会の創出と多様化への取り組み、④デジタルを活用した患者さんと医療従事者とのコミュニケーションサポート、の4つを今後の展望として掲げ、「これらを通じ、2030年のHIV/AIDSの流行終結を目指す、UNAIDS(国連合同エイズ計画)の目標達成に寄与すべく事業を展開していきたい」と語った。
1)The Antiretrovial Therapy Cohort Collaboration: Lancet HIV, 4(8), e349-e356(2017)