厚生労働省と国立医薬品食品衛生研究所は18日、小林製薬の紅麹含有製品による健康被害発生の原因究明調査を公表し、摂取後の腎障害の原因物質として「プベルル酸であったことが強く推定される」と結論づけた。
腎毒性等が5月時点では不明だった化合物が動物実験の結果、腎毒性が見られなかったため。紅麹に含有されていた物質に関する検証作業は今回で区切りをつけ、今後、厚労省のワーキンググループで再発防止に向けた規格基準の策定や衛生管理管理措置の徹底など食品衛生法上の措置を検討する方針。
同社の紅麹含有製品のうち、健康被害情報のあった原料品ロットをめぐっては、青カビの一種が作る物質であるプベルル酸のほか「化合物Y」「化合物Z」が検出されている。
5月の公表時では、化合物Yについては、青カビの介在により有用成分のモナコリンKが修飾された物質と推定していた。
一方、化合物Zについては、同様にモナコリンKと基本骨格が類似しているとしつつ、確認作業を進めていた。
今回、化合物Zについて、紅麹菌がモナコリンKを作る過程で青カビの介在によりモナコリンKが修飾された物質と発表した。同社の製品摂取後に健康被害が見られた患者では、腎障害等が報告されている。7日間の反復投与による動物試験でプベルル酸単品を投与したところ、近位尿細管の変性・壊死等が確認されたものの、化合物Y・Zをそれぞれ単品で投与しても腎臓の毒性所見は見られなかった。
この結果を踏まえ、化合物Zは化合物Yと同様の発生機構を持ち、腎障害を引き起こす物質ではないことを確認した。
厚労省は、「腎毒性を持つ物質が腎臓に悪影響を与え、原因物質はプベルル酸であったことが強く推定される。そのため、紅麹に含有されていた物質に関する検証についてこれ以上行う予定はない」との考えを示した。