23年度調剤医療費動向のうち、処方箋1枚当たりの医療費の伸び率は前年度と比べてマイナス0.5%、処方箋1枚当たりの薬剤料の伸び率はマイナス0.6%となった。
23年度は新型コロナウイルス治療薬、インフルエンザ治療薬など抗ウイルス薬の処方割合増加により、抗ウイルス薬に関する薬剤料の寄与度が医療費では1.9%、薬剤料では2.6%と、抗ウイルス薬が占める割合が前年度や前々年度より増加した。
厚労省は、「特にコロナ治療薬は単価が高く、抗ウイルス薬の薬剤料増加の影響がなければもう少し伸び率が下がっていたと思う。24年度以降の調剤医療費を見通す場合、23年度は抗ウイルス薬の影響があったことに留意する必要がある」と説明した。
森氏は、処方箋1枚当たりの薬剤料の伸び率について、「抗ウイルス薬の寄与がなければさらに低かった。これは中間年改定が原因であり、近年の物価や人件費の高騰に対する価格転嫁ができない公定価格で経営する薬局等にとって中間年改定の影響は大きい」と指摘。
そのため、「物価高騰等の4大臣合意後の環境変化、7年連続の薬価改定の影響を踏まえ、中間年改定の実施は慎重に検討する必要がある」と求めた。
■薬価は据え置き‐マンジャロ皮下注
また、この日の総会では、日本イーライリリーの2型糖尿病治療薬でGLP-1受容体作動薬「マンジャロ皮下注」(一般名:チルゼパチド)の費用対効果評価案を了承した。
増分費用効果比(ICER)区分は「200万円/QALY以上500万円/QALY未満」、価格調整係数は1.0を示したため、薬価は据え置かれる見通し。
同剤の対象患者である2型糖尿病患者について、同薬(注射薬)のうち、最も安価なリキシセナチドを比較対照薬としたところ、ICERは「200万円/QALY以上500万円/QALY未満」を示し、価格調整係数は1.0となった。