骨粗鬆症予防には運動実施・ビタミンD貯蔵量維持が重要
順天堂大学は9月5日、閉経前40歳代女性の屋内外における運動習慣と骨密度の現状を調べた結果を発表した。この研究は、同大大学院スポーツ健康科学研究科の吉村雅文教授、同大大学院保健医療学研究科の宮森隆行講師ら、日本サッカー協会の田嶋幸三名誉会長らの研究グループによるもの。研究成果は、「BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation」に掲載されている。
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骨粗鬆症は、骨折のリスクが高まる疾患。特に女性は閉経によってかなりの骨量が失われるため、女性の骨粗鬆症の有病率は男性の約3倍とされている。骨粗鬆症を予防するためには、運動の実施、体内のビタミンD貯蔵量の維持が重要であると考えられる。ビタミンDは、骨代謝に関わる重要なビタミンだが、食事からの摂取のみならず、日光を浴びると皮膚で生成されることが知られている。そのため、日光に浴びやすい屋外スポーツを実施している女性は、血中ビタミンD濃度が高く、さらに、閉経前に屋内外で定期的にスポーツを実施することは、骨密度を高めることができる可能性がある。
閉経前40代女性、サッカー/バレー/運動習慣なし群で血中ビタミンD濃度を測定
そこで今回の研究では、シニアスポーツとして近年競技人口が増加傾向にあるサッカーとバレーボールに着目。これらのスポーツの実施における血中ビタミンD濃度と骨密度の現状を調べることを目的とした。同研究では、閉経前の40歳代女性を対象に、屋外スポーツであるサッカーをしている方(サッカー群)、屋内スポーツであるバレーボールをしている人(バレーボール群)、日常的に運動を実施していない人(運動習慣なし)から研究への参加募集をした。全体の参加者は、92人となり、それぞれサッカー群27人、バレーボール群40人、運動習慣なし群25人となった。測定は、腰椎と大腿骨頚部の骨密度、体内にあるビタミンD貯蔵量の指標とされている血中25-ハイドロキシビタミンD(25-OHD)濃度の測定を行い、サッカー群、バレーボール群、運動習慣なし群の3群間で比較した。
サッカー:大腿骨骨密度+血中ビタミンD濃度「高」/バレー:腰椎+大腿骨骨密度「高」
研究の結果、腰椎の骨密度は、バレーボール群が対照群よりも高く、大腿骨頚部の骨密度は、サッカー群とバレーボール群において、運動習慣なし群よりも高いことがわかった。さらに、骨形成に必要とされる血中25-OHD濃度は、サッカー群が最も高いことが明らかになった。このように同研究では、閉経前40歳代の女性においては日常的に屋内外で運動をすることにより骨密度が高まり、骨の健康に重要な血中25-OHD濃度は屋外運動で高まる可能性がわかった。
閉経後の骨量減少抑制、将来的に骨粗鬆症予防の可能性
体内のビタミンD貯蔵量が高いと骨密度も高くなりやすいとされている。このことから、閉経前にサッカーをはじめとする屋外スポーツの定期的な実施は、血中25-OHD濃度を高め、閉経後の骨量減少を抑制し、将来的には骨粗鬆症を予防できる可能性がある、と研究グループは述べている。
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