調査は、2023年6月30~7月14日に製薬企業72社を対象に実施したもの。医療関係者から比較情報の求めがあった場合の情報提供方針を聞いたところ、「有効性に関する情報を提供する」は60%、「安全性に関する情報を提供する」は61%だった。
一方、比較情報を提供する方針にも関わらず、提供できないケースの理由を複数回答で選択してもらったところ、「有効性に関する比較情報」「安全性に関する比較情報」は共に「データがない」が9割超とトップで、「科学的・客観的な根拠があるとは言えない」「他社の誹謗中傷に当たる恐れがある」が7割弱と続いた。
ガイドラインQ&Aに盛り込んでほしい内容を自由記述で回答してもらったところ、トップは「講演会における情報提供」となったが、僅差で「他社製品との比較と他社の誹謗中傷の線引き」が続いた。
厚生労働省は2月、医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインに関するQ&Aを発出し、医師・薬剤師から他社製品に関する情報や自社製品と他社製品との比較情報を求められた場合には、情報提供先を要求者に限定することなど一定の条件を満たせば、「情報提供が可能」との見解を示している。
研究班では「製薬企業は“他社の誹謗中傷”と見なされ、ガイドラインに抵触することを恐れて比較情報の提供を控えるケースが多いと推測される」と分析。
その上で、「製薬企業から提供可能な比較情報が医療関係者に提供されない事態を防ぐため、適切で円滑な比較情報の提供の推進につながる方策を検討し、公式な見解を示す必要がある」と指摘している。
一方、未承認適応外情報の提供についてはほとんどの企業が「提供する」方針としており、提供自体は制限していないことが明らかとなった。「情報提供する」方針にも関わらず提供できない理由として、「科学的・客観的根拠があるとは言えない」が多く挙げられた。