医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 毎日の朝食摂取、良好な生殖補助医療成績と関連-東京医科大

毎日の朝食摂取、良好な生殖補助医療成績と関連-東京医科大

読了時間:約 1分25秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年09月04日 AM09:30

生殖医療治療成績向上に向け、時間生物学に着目

東京医科大学は8月30日、毎日朝食を摂取する人は、そうでない人と比較して生殖補助医療()治療後の生産率が高く、流産率が低いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大産科婦人科学分野の西洋孝主任教授、小野政徳准教授ら、同大医療データサイエンス分野の折原隼一郎講師、金沢大学の藤原浩名誉教授、安藤仁教授、大黒多希子教授、毎田佳子教授、京都ノートルダム女子大学の藤原智子教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrition」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

生殖医療の治療成績は、薬剤・胚培養・凍結技術の改善とともに進歩してきた。さらなる治療成績の向上のためには、新たな視点での介入法が求められる。そこで今回研究グループは、時間生物学に着目した。生物の生体リズムは、時計遺伝子群の周期的な発現により形成され、さまざまな標的遺伝子の発現を制御している。この生体リズムは、視床下部の視交叉上核に存在する中枢時計と、全身の細胞にある末梢時計によって制御されており、時計機能の異常は糖尿病、、うつ病の発症リスクを高めることが報告されている。最近では、夜勤が多いシフトワークが、排卵障害、不妊症および不育症のリスクを増加させることも明らかになった。

不妊症患者の朝食摂取頻度とART成績との関連を検討

今回の研究では、不妊症患者における朝食摂取頻度とART成績との関連を検討した。年齢、喫煙状況、飲酒状況、肥満度、抗ミュラー管ホルモン値、妊娠分娩歴を含む潜在的交絡因子を調整後、ART成績の多変量解析を行った。

週に6-7回朝食摂取の人は、ART治療後の生産率が高い傾向

患者を1週間の朝食の摂取頻度に基づいてグループ分けし解析。その結果、毎日(6、7回/週)朝食を摂取する群は、他の群と比較してART治療後の生産率が高く、流産率が低いことが示された。毎日朝食を摂取することは、良好なART成績と関連していた。

今回の研究結果は、ARTで毎日朝食を摂取することの重要性を示唆している。毎日の朝食摂取という患者自身による介入が、ARTの成績向上に寄与することが期待される、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか
  • 重症薬疹のTEN、空間プロテオミクス解析でJAK阻害剤が有効と判明-新潟大ほか
  • トリプルネガティブ乳がん、新規治療標的分子ZCCHC24を同定-科学大ほか
  • トイレは「ふた閉め洗浄」でもエアロゾルは漏れる、その飛距離が判明-産総研ほか