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術後悪心・嘔吐のリスク因子をAI解析、出血量や輸液量も影響大と判明-東北大

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2024年09月02日 AM09:10

」、複数のリスク要因が相互作用し予防は困難

東北大学は8月28日、)を用いて、術後によく見られる合併症「(PONV)」のリスク因子を解析したと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科歯科口腔麻酔学分野の星島宏准教授、水田健太郎教授、大学院工学研究科通信工学専攻通信システム工学講座画像情報通信工学分野の宮崎智准教授、大町真一郎教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「PLOS ONE」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

PONVは、最も頻度の高い術後合併症の一つであり、全身麻酔を受けた患者の約3割に影響を及ぼす。PONVは患者の満足度を低下させるだけでなく、その治療にかかるコストや、入院期間の延長による医療費の増大が問題となっている。PONVのリスク要因には、性別(女性)、年齢(若年層)、非喫煙者、乗り物酔いの既往などがある。また、手術要因、麻酔要因などの複数のリスク要因が相互作用するため、PONVの予防は依然として困難である。

3万人対象に27因子をAI解析、出血量>性別>輸液量>年齢の順で影響と判明

全身麻酔を受けた成人患者3万3,676人を対象に、性別、年齢、体重など患者固有の因子、手術時間、輸液量、出血量などの手術関連因子、麻酔時間、使用した麻酔薬などの麻酔関連因子を含む総計27種の因子を人工知能で解析した。その結果、PONVには、出血量(2,500mlまで)、性別(女性)、輸液量(1,000ml以下)、年齢(20~50歳)の順で大きな影響があることが明らかになった。

手術中の出血コントロール・輸液量の適正化が有効

PONVの予防には、外科医や麻酔科医が術中の出血のコントロールや輸液量の適正化を行うことが有効である。「PONVのリスクが高いと予想される場合では、予防的な制吐薬の投与により、患者の快適性を向上させることが期待される」と、研究グループは述べている。

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