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排卵有無の判定、「睡眠中の推定深部温」の有効性を確認-新潟医療福祉大

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2024年09月02日 AM09:20

睡眠中の推定深部温計測方法、妥当性・排卵有無の判定手法としての有効性を検証

新潟医療福祉大学は8月28日、睡眠中の推定した深部体温(以下、推定深部温)において、実測した深部温(消化器温)との相関が高く、一般的に用いられる起床時の口腔温計測(以下、口腔温計測)と比べて、月経周期における排卵の有無を判定する手法として有効である可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大健康科学部健康スポーツ学科の佐藤大輔教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「JMIR Formative Research」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

月経周期や受胎可能期間を把握することは、女性の生活の質(Quality of Life:QOL)を高めるために重要だ。そのため、簡便かつ正確に排卵の有無を把握する方法の確立が求められている。今回の研究では、睡眠中の推定深部温の計測方法の妥当性および排卵の有無を判定する手法としての有効性を検証した。

胸部皮膚温と外気温からの推定深部温、消化器温より低いが月経周期による温度変化を捉える

推定深部温の測定には、睡眠中の胸部皮膚温と衣服内の外気側の温度(以下、外気温)から深部温を推定する手法を採用。その手法を実現するツールとして、「わたしの温度」の胸部計測用ウェアラブルデバイスを用いた。なお、同大スポーツ生理学ラボは、2021年12月よりTOPPANエッジ株式会社と共同研究を行っている。

研究の結果、睡眠中の推定深部温は、実測した深部温(消化器温)よりも低い値を示すが、深部温の変化を十分に捉えることができていた。消化器温はピル型のe-Celsius(BodyCap社)を摂取して測定した。推定深部温は、月経周期による温度変化を捉えることができていた。

推定深部温の感度85%・特異性92.86%、口腔温を上回る

また、基礎体温測定に用いられる口腔温と、睡眠中の推定深部温にて排卵の有無を判定する精度を比較した結果、胸部の皮膚温と外気温から推定する「推定深部温」の有効性を確認した。対象者26人(月経周期74サイクル)を対象に、推定深部温と口腔温の二相性変動から各周期の排卵の有無を推定し、尿中の黄体形成ホルモンの上昇(LHサージ)に基づく判定結果(排卵有無)との一致性を検証。その結果、推定深部温では、感度(LHサージにより排卵有りと判定された周期のうち、二相性変動が見られた周期の割合)85%、特異性(LHサージにより排卵無しと判定された周期のうち、二相性変動が見られなかった周期の割合)92.86%という高い判定精度を示し、口腔温における感度68.33%、特異性78.57%を大きく上回った。

今後、月経随伴症状の発症予測の技術確立など目指す

睡眠中の推定深部温は、実測された深部温(消化器温)よりも低い値を示したが、月経周期における温度変化パターンは一致していることを確認した。また、睡眠中の推定深部温は、口腔温計測と比較して、月経周期における体温の二相性変動を捉えることができ、高い精度で排卵の有無を判定できることが確認された。

9割以上の女性が月経前や月経中に、体重増加や身体のむくみ等の身体的症状や、記憶機能の低下、うつ様症状等の精神的症状を経験していると言われる。これまでに新潟医療福祉大学スポーツ生理学ラボでは、月経周期によって運動学習能や細かな運動調節能、それに関連する脳神経活動が変動することを明らかにしている。同研究の結果を基に、今後は睡眠中の生体情報データから認知機能の変動予測や月経随伴症状の発症予測の技術を確立し、デジタルヘルス技術を用いた周期予測に留まらず、日々のコンディショニングツールの開発を目指す、と研究グループは述べている。

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