厚生労働省は26日、「国際保健ビジョン」をまとめ公表した。国際保健の課題の一つとして、経済安全保障としての医薬品の安定供給確保戦略も明記。原薬供給源の多様化を推進すると共に、海外からの原薬供給が途絶した場合も医療現場に製品を供給する体制整備を盛り込んだ。厚労省はビジョンを国際保健の取り組みを強力に進めていくためのドライビングフォースとしたい考えだ。
具体的な取り組みとしては、「UHCナレッジハブ」の創設を打ち出した。世界保健機関(WHO)や世界銀行等の国際機関とも連携して、低中所得国のUHC達成に向けた支援を行う拠点を2025年に日本に設置する。
また、創薬基盤強化の国際戦略スタートアップ企業の立ち上げと成長を支える「創薬エコシステム」を活性化し、創薬基盤を再構築することを明記。国立健康危機管理研究機構(JIHS)とASEAN感染症対策センター(ACPHEED)との連携強化では両機関の専門人材の交流を活性化させ、平時からのJIHSとACPHEEDの連携を強化するとした。
インド太平洋健康戦略の構築も掲げた。その中で、「医薬品・医療機器等開発エコシステム」の展開を打ち出しており、臨床開発環境整備・薬事規制能力強化のための並走・循環型支援システムを構築するとした。循環型高齢者保健戦略も掲げ、外国介護労働者政策・介護事業者国際展開支援に向け、介護サービス等に関する日本の知見共有、外国人介護人材獲得に向けた海外への働きかけ、日本での定着支援を実施。外国医療人材の育成、医療インバウンドを含む医療の国際展開に向け、外国医療人材の育成推進と共に、訪日外国人患者の受入(インバウンド)、医薬品・医療機器の海外展開(アウトバウンド)を推進するとした。