薬被連代表世話人の花井十伍氏は、「近年、新薬が出ており、安全対策はますます重要性を増している。薬害根絶デーの日に要望書を取りまとめたので、われわれの願いを聞いていただければ」と語った。
ドラッグロス対策として、医薬品医療機器等法見直しの議論が進められる中、製造販売後調査のあり方が論点となっている。要望書では、科学的合理性に基づいて市販後安全対策が行われることには賛同する一方、単に企業の負担軽減を目的とした規制緩和には強く反対すると主張。特に市販直後調査については、より力を入れて行うよう薬機法で明確化し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の安全対策部門の充実・強化を図るよう訴えた。
医薬品リスク管理計画(RMP)についても、「承認条件を付する場合、RMPの作成・適正運用を求めているが、企業によって遵守状況に差が生じている」とし、承認条件のあり方を再検討すると共に、RMPが実践的に活用されるような制度を検討するよう求めた。
また、一般用医薬品の過剰投与による健康被害が増加する中、特に未成年者の安全を守るため、一般用医薬品の販売に際して専門家が十分関与するような制度を構想するよう求めた。
一方、HPVワクチンへの対応強化に向けては、▽積極勧奨、キャッチアップ接種の中止▽HPVワクチンによる副反応被害に対する治療法確立のための国の研究班の設置、診療体制の整備▽救済制度のあり方の見直し▽接種者の全数調査の実施▽HPVワクチンの有効性に関する国際的な実態調査▽十分な情報提供、HPVワクチンに関するリーフレットの改訂▽HPVワクチンの男性への接種――などを要望した。
そのほか、薬害研究資料館の創設や筋短縮症被害者対策、医薬品副作用被害救済制度の充実も求めた。
要望書を受け取った武見氏は、「改めて皆さんの思いを受け、医薬品による悲惨な被害を再び発生することがないようにするとの思いを新たにした。医薬品の安全性や有効性の確保に最善の努力を重ねていくことを改めて誓う」と語った。