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「過敏性肺炎」の正確な有病・罹患率を全国疫学調査で推計、日本初-東京医歯大

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2024年08月27日 AM09:10

日本における「」の有病率・地域性・季節性は不明だった

東京医科歯科大学は8月20日、過敏性肺炎の全国疫学調査一次調査を実施し、日本で初めて線維性過敏性肺炎および非線維性過敏性肺炎の正確な有病率および罹患率を推計したと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学の宮﨑泰成教授と同大病院長寿・健康人生推進センターの岡本師准教授の研究グループによるもの。研究成果は、「Allergology International」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

過敏性肺炎は特定の抗原を反復吸入することにより発症する間質性肺炎で、1991年、1999年、2013年に厚生労働省政策班主導で過敏性肺炎の疫学研究が行われた。しかし、これらはびまん性肺疾患を専門的に診療している特定の施設からの症例を収集したものであり、有病率および罹患率は不明だった。その後、約10年間は正確な疫学調査は実施されなかった。さらに、小児過敏性肺炎の調査報告は世界的にも少数だが、線維性過敏性肺炎により肺移植を受ける児もいる。一方で、日本における小児過敏性肺炎の疫学調査は今まで行われていない。

2020年にアメリカ胸部学会より過敏性肺炎のガイドラインが初めて発表され、日本呼吸器学会からも2022年に「過敏性肺炎診療指針」が発刊されて診断が標準化された。欧米を中心に過敏性肺炎の疫学研究が発表されてきた。そこからは過敏性肺炎の有病率が増加していることが推測された。

まれな小児例についても日本小児呼吸器学会員などを対象にアンケート調査を実施

研究グループが2011年~2017年における過敏性肺炎の入院症例を、DPCデータベースをもとに解析した結果、徐々に増加していることが明らかとなった。2017年以降も同疾患の認知度が向上し、過敏性肺炎に関連する検査が実施されるようになったこと、診断基準が整備されたことから、さらに有病率が増加していることが考えられる。日本における同疾患の有病率や地域性、さらには季節性が明らかになることは、診断あるいは発症予防に重要であると考えられる。

2021年1月1日~12月31日に通院歴を有し、過敏性肺炎診療指針の低確診度以上を対象とした。成人例においては、「難病の患者数と臨床疫学像把握のための全国疫学調査マニュアル第3版」に基づき、抽出率が約20%となるように病床数による層別化を行い、ランダムに対象医療施設を抽出した。小児例においてはまれであり、診断は主要医療機関のみであると考えられるため、日本小児呼吸器学会員と日本小児アレルギー学会員を対象とし、これら対象医療施設にアンケート調査を実施した。

線維性過敏性肺炎の方が非線維性過敏性肺炎に比べ罹患率「高」

質問項目は、(1)施設情報、(2)2021年に受診した線維性過敏性肺炎、非線維性過敏性肺炎の症例数、(3)2021年に新規診断された線維性過敏性肺炎の症例数、(4)2021年に新規診断された非線維性過敏性肺炎における発症月別の症例数、(5)二次調査ご協力のお願いの5項目とした。これらについて、Googleフォームを利用して回答してもらった。

合計1,580施設に調査を実施し、575施設(36%)より回答があり、線維性および非線維性過敏性肺炎の有病率、罹患率を算出した。診断のより難しい線維性過敏性肺炎の方が、非線維性過敏性肺炎よりも高いことが明らかとなった。

小児例については、127の医療施設より回答を回収し、線維性過敏性肺炎3例と非線維性過敏性肺炎5例が通院中であることが明らかとなった。

過敏性肺炎の診療のみならず、診療指針改定にも役立つことに期待

今回の研究が、日本における線維性および非線維性過敏性肺炎の有病率罹患率を推計した最初の疫学研究となった。結果、線維性過敏性肺炎は非線維性過敏性肺炎よりも多く認められた(有病率:人口10万人あたり6.3例対人口10万人あたり3.6例)。この疫学データは、日本の過敏性肺炎患者数が欧州(有病率:人口10万人あたり1.9~14.3例、:人口10万人あたり0.3~3.2例)と同程度であり、米国(有病率:人口10万人あたり1.67~2.71例、発生率:人口10万人あたり1.28~1.94例)よりも多いことを示している。さらに、過敏性肺炎の地理的分布および季節変動も明らかにされた。過敏性肺炎は小児では非常にまれと考えられているが、日本における小児過敏性肺炎の症例数も判明した。

「本疫学調査の結果を足掛かりとして、今後も継続して疫学研究を実施する必要がある。さらには二次調査として詳細な臨床情報を収集し、本疾患の特徴を明らかにする計画がある。世界で最大の過敏性肺炎コホートが構築されると考えられる。今後の過敏性肺炎の診療に有用となるばかりではなく、診療指針の改定にも役立つデータとして活用されることを期待する」と、研究グループは述べている。

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