日本医療機能評価機構は、複数の薬剤をシリンジポンプで投与中、注射器の交換を誤り、別の薬剤の注射器を接続して投与した事例が2020年1月~2024年6月末までに7件報告されていると公表した。
事例の一つは、患者の苦痛緩和目的でミタゾラム調製液とモルヒネ塩酸塩調製液をそれぞれシリンジポンプで持続投与する際に、注射器の交換間違いをしたというもの。モルヒネのシリンジポンプの残量アラームが鳴った際、看護師はミタゾラムのアラームと思い込み、患者のリストバンドと交換する注射器のラベルをバーコード認証した際、電子カルテ画面に患者にオーダーされた薬剤であることを示す「○」が表示されたため正しいと判断し、交換間違いが発生したという。
注射器を交換する際に看護師は空の注射器のラベルと交換する注射器のラベルの薬剤を照合しなかったほか、シリンジポンプに貼付しているモルヒネのラベルも見ないまま、ミタゾラムの注射器をセットして投与を開始し、その後2台のシリンジポンプで投与していたことが分かった。
別の事例では、手術中、患者にレミフェンタニル調製液とノルアドレナリン調製液をそれぞれシリンジポンプで持続投与し、レミフェンタニルの注射器を交換する際に麻酔科医が薬剤名を確認せず、思い込みでノルアドレナリンの注射器をセットし、投与を開始。その後、血圧が上昇したためシリンジポンプを確認したところ、2台のシリンジポンプでノルアドレナリン調製液を投与していたことが分かった。