日本における「げっぷ障害」の頻度や発症に関与する因子は不明だった
大阪公立大学は8月7日、噛む回数が多すぎても少なすぎても「げっぷ障害」に影響することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科消化器内科学の藤原靖弘教授、小林由美恵病院講師、沢田明也病院講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「The American Journal of Gastroenterology」にオンライン掲載されている。
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げっぷは本来、生理現象の一つだが、さまざまな消化器疾患(胃食道逆流症(GERD)や機能性ディスペプシアなど)の症状としても重要だ。日常生活に支障のあるげっぷは、本人にとって深刻な症状であり、生活の質を妨げる。
国際的な基準(ローマIV分類)では、機能性消化管疾患の一つとしてげっぷ障害が掲げられている。グローバルな調査では、げっぷ障害の頻度は全世界で成人の約1%と報告されているが、日本における頻度や発症に関与する因子は明らかになっていなかった。
日本の成人1万人を対象にWeb調査を実施、げっぷ障害あり1.5%
研究グループは今回、一般成人1万人を対象にWeb調査を行い、げっぷ障害の頻度と疾患や生活習慣(食べる速度、咀嚼回数、炭酸飲料水の摂取頻度、満腹まで食事を取るかなど)との関連、さらにSF-8質問紙票を用いて健康関連QOLに与える影響を調査した。
その結果、ローマIV基準による「週に4日以上煩わしいげっぷを訴えるげっぷ障害」は151人(1.5%)に認められた。また、げっぷ障害がない人と比較して、GERD(オッズ比4.35倍)、機能性ディスペプシア(1.93倍)、甲状腺疾患(3.64倍)を抱えている人が多いことがわかった。さらに、食べる速度が速い(1.54倍)または極端に遅いこと(1.85倍)、満腹まで食べること(1.54倍)、咀嚼回数が極端に少ない(1.44倍)または極端に多い(2.43倍)ことが、げっぷ障害の発症と関連することが判明した。
げっぷ障害が身体的・精神的健康関連QOLを低下させることも判明
そこで、さらに詳しく関連を調べるために多変量解析を行ったところ、GERD、機能性ディスペプシア、甲状腺疾患の有無、満腹まで食べること、咀嚼回数が極端に少ない、または多いことが、特にげっぷ障害の発症に関連することがわかった。一方で、炭酸飲料水の摂取頻度とは関連が認められなかった。他にも、げっぷ障害は身体的・精神的健康関連QOLを低下させることも明らかになった。
げっぷの症状に困っているが医療機関を受診していない人も多い可能性
今回の研究により、日本でのげっぷ障害の頻度が明らかになった。有病率が成人の1.5%という事実は、実際に症状に困っているが医療機関を受診していない人も多いと考えられる。
「げっぷ障害では認知行動療法を行うことが多いが、治療は難しく、限られた医療機関でのみ実施されている。今後、げっぷ障害の患者において、咀嚼回数の評価や食生活習慣改善による効果を確認することで、将来的に患者自身で行う治療方法の選択肢となることが期待される」と、研究グループは述べている。
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