RLSにおけるうつ病・抑うつ状態の有病率は?
滋賀医科大学は7月31日、レストレスレッグス症候群(または、むずむず脚症候群、Restless legs syndrome、以下RLS)における抑うつ状態の合併率に関する系統的レビューを報告したと発表した。この研究は、同大医学部医学科第5学年の宮口凜氏、精神医学講座の研究グループ(増田史助教、角幸頼客員助教、尾関祐二教授、角谷寛特任教授ら)によるもの。研究成果は、「Sleep Medicine Reviews」に掲載されている。
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RLSは、主に下肢の不快感と動かしたくなる衝動を特徴とする疾患。症状は安静時(特に夕方から夜)に悪化し、動くことで緩和される。RLSの有病率は約7%であり、女性は男性より2倍多く発症し、全年齢にみられる疾患だ。
近年、ドパミン神経系の共通の異常があるという点で、うつ病との関係が注目されている。うつ病の有病率は一般的には約5%だが、RLS患者では約2〜7割と報告されており、その合併率は明らかにされていなかった。そこで研究グループは今回、系統的レビューと呼ばれる手法を用いて、RLSにおけるうつ病または抑うつ状態の有病率を調査した。
24件の研究に含まれる2,039人のRLS患者を解析した結果、抑うつ状態合併率は約3割
今回の系統的レビューとメタアナリシスでは、RLS患者におけるうつ病または抑うつ状態の有病率について検討した。2022年11月20日にオンラインデータベース(MEDLINE、CENTRAL、EMBASE、ClinicalTrials.gov)を用いて、「RLSとうつ病」に関する系統的検索。ランダム効果モデルを用いて、うつ病および抑うつ状態の有病率や抗うつ薬の利用割合についてメタ解析を行った。
その結果、3,919件の研究がヒットし、24件の研究を解析対象とした。研究には2,039人のRLS患者(男性727人、35.7%、平均年齢50.8±14.8歳)を含まれ、抑うつ状態の合併率は30.39%(95% CI: 20.55-42.43%)だった。同研究により、RLS患者における抑うつ状態の合併率が約3割と、高いことが明らかとなった。
RLS患者が抑うつ状態を合併するプロセスや、適切な治療法の検討が必要
今回の研究成果により、RLS患者の抑うつ状態合併率が約30%と高いことが示された。同研究では、系統的レビューというエビデンスレベルの高い研究手法を用いた点において、研究の新規性および優位性がある。RLS患者におけるうつ病または抑うつ状態の有病率に関する系統的レビューは初の試みだ。また、RLS患者の約3人に1人がうつ病・抑うつ状態を経験していることも判明した。
「RLS患者において抑うつ状態の合併率が高い背景には、RLSに伴う不眠の影響や、うつ病との共通するドパミン神経系の異常が背景にあるのではないかと考察している。今後、RLS患者が抑うつ状態を合併するプロセスや、適切な治療法の検討が必要と考える」と、研究グループは述べている。
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