日本薬剤師会は、厚生労働科学研究班が取りまとめた改訂版「薬剤師のための災害対策マニュアル」を公開し、都道府県薬剤師会担当役員向けに通知を発出した。2011年度の厚生労働科学研究で作成されたマニュアルの改訂版となり、災害時に薬剤師が薬事対応を行っていくための指針を示したひな形として運用していきたい考えだ。
21~23年度「薬剤師・薬局における災害時等対応についての研究」(研究代表者:福岡大学薬学部江川孝教授)が取りまとめたもの。日薬は、薬局や薬剤師会が地域の実情を踏まえた防災対策や活動計画を継続的に検討し、地域の災害対策マニュアルの作成を進めるよう促す。既に災害対策マニュアルを作成している都道府県薬剤師会に対しても参考にしてもらいたい考えだ。
東日本大震災以降の災害において薬剤師が対応した経験を踏まえ、病院・診療所の薬剤部門や薬局、薬剤師会が災害発生時に行うべき活動と平時の準備・防災対策を示している。
例えば、大規模災害の発生時には、▽指揮系統の確立と連携先の確認(指揮と連携)▽安全の確保・維持(安全)▽通信の確保、情報の共有・連携(コミュニケーション)▽評価――の4段階を経て薬事体制を確立するとされているが、病院・診療所の薬剤部門、薬局、薬剤師会ごとに実施すべき内容を分類した。
薬事提供体制が確立した後の薬剤師が行うべき薬事サポートの実践についてもまとめている。
一方、災害支援薬剤師や災害薬事コーディネーターを育成する研修では、一般目標と到達目標を提示している。