厚生労働省の佐藤大作大臣官房審議官(医薬担当)は5日、専門紙の共同会見に応じ、医薬品医療機器等法改正の検討テーマである責任役員の変更命令や課徴金制度の対象範囲を製造管理・品質管理上の悪質な違法行為まで見直す方向性について、「2021年度に施行した改正薬機法で議論したものでケリがつかなかった部分を載せた。今回やろうとしている改正で(法令遵守体制整備の)第1弾が完成する」と語った。一方、製造所の製造管理者の要件を非薬剤師に拡大する見直し案には、「理想論としては管理者は薬剤師であるべきだが、いろんな見識を積まれた方を排除する必要はない」と表明した。
前回の薬機法改正で許可等業者に対する法令遵守の体制整備が義務づけられたものの、施行前となる21年2月に小林化工に対する行政処分が起こり、依然として不正事案が相次いでいる。今回の法改正では、責任役員の変更命令に加え、虚偽・誇大広告に対する課徴金制度を製造管理・品質管理上の悪質な違法行為にまで拡大する方向で議論を進めている。
佐藤氏は「法令遵守の体制整備は道半ばにあり、きちんとやらないといけないと思っている。前回の改定で1回やったからいいと思っていただかないで欲しい」と強調し、ワーニングレターの導入を含め、法令遵守の体制整備をめぐっては継続した議論が必要との考えを示した。
全国的なGMP査察体制の構築に向け、都道府県がGMP適合性調査主体となっている品目を医薬品医療機器総合機構(PMDA)が調査を実施できる新たな制度を提案した狙いについては、「調査機会や技術向上の機会を失うとの懸念もあるが、PMDAの目を入れることが大事。PMDAが入ることでメーカーの緊張感が違う」と指摘。各都道府県に対し、「調査主体をPMDAに切り替えるのは一緒にやろうというのが趣旨」と理解を求めた。
一方、製造所の製造管理者の要件を非薬剤師に拡大する見直し案をめぐっては厚労省部会でも委員から賛否の声が上がる中、「理想論としては管理者は薬剤師」との私見を語った。
ただ、「薬剤師が会社に入ってすぐにできるかといえばできない。一方、薬学部以外の皆さんも学べばできるし、卒後に会社の中で何を学んできたかが大事。いろんな見識を積まれた方を排除する必要はない」と述べ、卒後教育で必要な能力を判断すべきとの考えを示した。