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高齢者低タンパク質栄養発見に血中アルブミン酸化還元バランスが寄与-都長寿研ほか

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2024年08月06日 AM09:30

1,011人のタンパク質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスとの関連を検討

東京都健康長寿医療センター研究所は7月19日、血中アルブミン酸化還元バランスが、高齢者の低タンパク質栄養状態の指標となる可能性を明らかにしたと発表した。この研究は、同研究所 自立促進と精神保健研究チームの本川佳子研究員らの研究グループと、森永乳業株式会社との共同研究によるもの。研究成果は、「Clinical Nutrition ESPEN」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

高齢者は食欲の低下や食嗜好性の変化からタンパク質・エネルギー欠乏状態に陥りやすく、これに伴いサルコペニアやフレイルといった疾病のリスクが高まる。栄養指標として広く用いられている血中アルブミンには「酸化型」と「還元型」がある。食事からのタンパク質の摂取量が充足すると、血中アルブミンの還元型が増加し、酸化型が減少する。逆に不足すると、血中アルブミンの酸化型が増加し、還元型が減少する。近年、この血中アルブミン酸化還元バランスが血中アルブミン濃度と比較して、タンパク質の栄養状態をより早期、かつ正確に示す栄養指標となり得ることが基礎・臨床研究から明らかとなりつつある。

研究グループは森永乳業と共同で、同センターが実施するコホート調査「板橋健康長寿縦断研究」の健診に参加した地域在住高齢者1,011人のタンパク質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスとの関連について検討した。

血中アルブミン酸化還元バランスが、高齢者のタンパク質栄養状態を反映

研究では、日本人の食事摂取基準(2020年版)をもとに、65歳以上で推奨される1日当たりのタンパク質摂取量を満たしているか否かをタンパク質不足の基準とした。その結果、血中アルブミン酸化還元バランスは、タンパク質摂取量と統計学的に有意な関係が認められた。一方、血中アルブミン濃度には有意な関係は認められなかった。

以上のことから、血中アルブミン酸化還元バランスは、高齢者のタンパク質栄養状態を反映し、低タンパク質栄養状態に伴うサルコペニアやフレイルといった疾病リスクの低減に寄与し得る指標となる可能性が示された。

低タンパク質栄養状態に伴うサルコペニアやフレイル早期発見に寄与する可能性

「血中アルブミン酸化還元バランスは、高齢者のタンパク質栄養状態を反映し、低タンパク質栄養状態に伴うサルコペニアやフレイルといった疾病リスクの早期発見に寄与し得る可能性が示された」と、研究グループは述べている。

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