厚生労働省は1日付の通知で、日本薬局方の規格・試験方法が海外薬局方と異なることにより、海外で製造された原薬が使用できず安定供給に支障が生じているまたは生じる恐れのある医療用医薬品について、他品目に優先して日局改正に向けた審議を行う方針を示した。改正を要望する場合、原薬の在庫状況など改正の根拠となる資料等の提出を求めている。
海外の製造所では、海外の薬局方の規格・試験方法に基づいて原薬の品質が管理されていることが多く、日局の規格等と異なる場合、ロットごとに日局で定められた試験を実施し、適合する原薬のみ輸入されているため、安定供給に支障が出ている事例が見られている。
そのため、対象となる医薬品については、他の品目に優先して日局改正の検討を行い、5年ごとの大改正または追補改正に盛り込むこととしたが、必要な場合は臨時改正も行う。参照する海外薬局方は、日局と並ぶ品質規格書として、欧米の薬局方(EPまたはUSP)とした。
対象医薬品が満たす条件として、▽安定供給に支障が生じているまたはその恐れのある医療用医薬品で、日局の原薬の調達困難が原因であること▽承認書の変更が不要であること▽日局と該当する欧米薬局方の規格・試験方法に関する相違の程度が品質等に影響をもたらさないこと――を求めた。
承認書の変更が不要なものを対象としているが、日局改正に伴い試験方法等に変更があるため、原薬に関する試験を実施する製造所では試験検査に関する手順書を適切に変更するよう求めている。
資料の提出も求めており、供給不安報告または供給状況報告のほか、日局改正の要望も提出する。改正要望では、日局と欧米薬局方の相違点に関する説明、現在の原薬の在庫状況および消尽見込みが分かる資料など、改正の根拠となる資の添付が必要とした。