国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は2022年度社会保障費用統計を公表し、社会保障給付費は137兆8337億円で前年度から9189億円(0.7%)減少した。医療分野は増加した一方、福祉その他分野のうち、雇用調整助成金など新型コロナウイルス感染症対策関係費の減少などが影響した。
社会保障費用統計は、22年度の医療保険、年金、介護保険、生活保護など社会保障制度に関する1年間の支出を集計し、取りまとめたもの。社会保障給付費は「医療」「年金」「福祉その他」に分類される。
社会保障給付費の総額は137兆8337億円で、前年度より9189億円(0.7%)減少した。分野別に見ると、医療分野は48兆7511億円(総額に占める割合35.4%)と前年度から1兆3306億円(2.8%)増で、コロナ治療薬の確保や緊急包括支援交付金(医療分)などコロナ対策関係費、医療保険給付の増加が影響した。
一方、福祉その他分野では、コロナ対策関係費に分類される雇用調整助成金、子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金等が減少したことで、前年度より2兆2251億円(6.3%)減少し、33兆2918億円となった。
近年の福祉その他分野は増加傾向が続いていたが、コロナ対策関係費の減少により、社会保障給付費全体の減少にもつながった。