7月30日、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」の中間取りとりまとめに掲げた戦略目標に対し、目指すべき成果目標と工程表を示した。具体的には、基礎から臨床の橋渡しを支援する。国際水準の臨床試験実施体制を整備し、国内で国際共同治験の初回治験計画届件数を増やす。
特にドラッグラグ・ロスの根本原因である国内の創薬力強化のためには「FIH試験の重点支援が重要」とし、国際的に競争力のあるFIH試験実施体制の国内整備を進めることで国際共同FIH試験を呼び込み、29年度には整備した施設でのFIH試験実施件数を10件まで増やす。海外発シーズも含む革新的新薬候補の国内研究開発を促進する。
新規モダリティの医薬品に対応したFIH試験に向けては、GMP準拠治験薬製造機能や研究施設を併設した創薬拠点の整備を行う。医師や看護師など実施する人材を育てる。
創薬の担い手としてスタートアップやアカデミアの育成にも取り組む。創薬ベンチャーエコシステムの実現により、創薬スタートアップに対する民間投資額を28年には現状の2倍、企業価値100億円以上の創薬スタートアップを10社以上輩出させ、33年には創薬ユニコーン(企業価値1000億円以上)となる企業の育成を目指す。投資とイノベーションが循環的に発展することで、28年には世界10位以内の創薬エコシステムとして評価される国内都市が登場するよう環境を整備する。
来年度にも予定している官民協議会の開催を通じて外資系企業・外国資金を呼び込み、国内イノベーション促進拠点または国内イノベーション促進プログラムを有する外資系製薬企業を、29年度には現状の倍となる14社に増やす。国内外のアカデミア・スタートアップとベンチャーキャピタルのマッチングを推進し、創薬ベンチャー採択件数を現状の11社から70社まで拡大する。
また、日本での国際共同治験を呼び込むために遠隔診療や訪問看護を活用し、来院に依らない治験である分散型臨床試験(DCT)の普及に取り組む。29年度にはDCTを活用した試験数を現状の3倍となる15試験に拡大する。臨床研究中核病院の承認要件にDCTの実施にかかる項目を追加する予定。
抗体医薬品や再生・細胞医療・遺伝子治療などのバイオ医薬品の国内製造体制では、国内でCDMOなどの製造拠点や現場での製造人材確保を整備し、現状で国内にないデュアルユース設備を有する拠点を29年度に16拠点に広げる。
ドラッグラグ・ロス対応では、薬事規制面から積極的な支援を行うことで、国内で開発未着手となっている医薬品86品目のうち必要な医薬品は26年度までに開発へ着手すると共に、小児用医薬品の開発計画策定件数についても28年度までの5年間で50件に設定した。
成果目標の達成状況や施策の進捗状況については有識者による総合評価によりフォローアップしていくとしている。