厚生労働省は、体外診断薬に活用される技術も次世代シーケンサーやフローサイトメトリーなど従来の枠にはまらない製品が増加し、今後は生成AIの活用など、新たな技術革新への対応が必要になると想定されるため、「薬剤師に加え、そのような製品に対応するため必要な要件を持つ者も管理者として容認され得る機運が高まっている」と説明した。
そこで、体外診断薬の総責・製造管理者の要件について、従来の薬剤師に加え、医師、歯科医師、獣医師等の有資格者や、大学等で化学、生物学、農学、獣医学、薬学(4年制含む)、医学、歯学等に関する専門課程を修了した者を追加する見直し案を示した。
産業界からは「変わりゆくモダリティに関する専門課程を学んでいること、現場での従事経験を生かせる責任者になれるよう範囲を広げていただきたい」と賛同意見が相次いだ。
これに対し、薬剤師委員は見直し案に否定的な見解を示した。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は「知識と技能を有してしっかりと職責を果たすということから、薬剤師とした定義がある。従来の枠にはまらない製品が増加しているから総責の条件を変更するのではなく、総責が時代の変化に応じて職責を果たすように利用すべき」と現状維持を求めた。
川上純一委員(浜松医科大学病院教授・薬剤部長)も「体外診断薬は医薬品なので、医薬品に関して責任を持つ職種として薬剤師が指定されていると理解している。製造販売業者はそうした方たちの雇用を確保し、生涯研修を通じて学ばせるのが大事ではないか」と同調した。
医師の立場から茂松茂人委員(日本医師会副会長)も「薬剤師の養成は進み、職能を生かしていくことは大事。現場でも薬剤師に対して敬意を払い、尊重する考え方が必要ではないか」と述べ、三澤日出巳部会長代理(慶應義塾大学薬学部教授)も「体外診断薬の定義を考えて、それから規制を考えるべき」と反対姿勢を強調した。