厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は25日、調剤の一部外部委託の法制化をめぐり議論した。委員からは医薬品医療機器等法、薬剤師法の法制化ありきではなく、「大阪府で実施している実証実験を踏まえ実施の可否を判断すべき」「一包化の外部委託が薬剤師の対人業務充実の環境整備につながるか疑問」「通常の薬局にはそぐわない」など、対人業務の充実ばかりか対物業務の質低下を懸念する声が相次いだ。
厚労省は、調剤業務の一部外部委託の制度化に向け、ワーキンググループで取りまとめられた考え方や対応方針を踏まえた委託業務、委託先とした上で、患者の安全のために必要な基準を設定するほか、委託元・委託先における薬剤師の義務や責任について整理し、必要な規定に見直す対応案を示した。
森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、事務局案に賛同する一方、調剤業務の一部外部委託について「安全性担保を前提に、何のため、誰のための外部委託なのかを考えることが重要。ワーキンググループの取りまとめや実証実験の結果を踏まえ、慎重に検討することが必要」と指摘した。
その上で「安全性が確保できるのか、実際に委託元の薬局の対物業務の効率化につながり、対人業務の充実となったのか、実証実験を行って委託の実施可否を判断し、課題を整理した上で法令上の位置づけなどを検討すべき」と語った。
山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「ワーキンググループでは、薬局・薬剤師の立場で、効率化するので外部委託してほしいという人がほとんどいなかった」との見方を示し、「すぐに法制化してしまうということがいいのか。慎重に進めてもらって患者にとってプラスになっていたかを見極めた上で進めていただきたい」と要求した。
茂松茂人委員(日本医師会副会長)は、「高齢者施設では効率化できると思うが、一般の薬局ではどうなのか」と疑問視。外部委託をした場合に「(薬局が)ベルトコンベアのように回ってしまうと信頼が薄くなってしまう。安全性などをしっかり検証し、何か起こった時に責任がどこにあるのかははっきりさせていただきたい」と注文をつけた。