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低悪性度てんかん原性腫瘍、遺伝子変異ごとのMRI画像パターン判明-NCNP

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2024年07月25日 AM09:10

LEATにおけるMRI神経画像所見、遺伝型との関連は未報告

(NCNP)は7月19日、小児てんかんの原因となる脳腫瘍の一群()のMRIを解析することで、腫瘍の遺伝子変異( V600E mutation、 mutation)に特徴的なMRIの画像パターンが存在することを明らかにしたと発表した。この研究は、NCNP病院脳神経外科診療部の飯島圭哉医師、岩崎真樹部長、放射線診療部の木村有喜男医長、佐藤典子部長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Frontiers in Neurology」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

LEATは、小児でてんかんの手術を受ける患者において、皮質形成異常に次いで2番目に多い疾患で、手術標本の27.2%にLEATが見つかる。「LEAT」という用語は国際抗てんかん連盟(ILAE)が提唱する臨床病理学的概念であり、これまでに多くの研究の対象となってきたが、その定義はまだ確立されていない。最近の分子遺伝学的研究により、低悪性度神経上皮腫瘍において、BRAFやFGFR1を含むmitogen活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路のさまざまな病的変異が原因となることが明らかになってきた。

これまでの研究では、脳腫瘍の手術から手術標本が収集され、一部のサンプルは明らかなてんかんのない患者からも得られていた。そのため、薬剤抵抗性てんかんを真に引き起こす腫瘍の遺伝的特徴は十分には明らかにされていなかった。また、脳腫瘍の診断の基本は手術標本の病理診断だが、病理診断用に切除される手術標本は腫瘍の一部のみが採取されることが多く、病理検査では全体像が把握できないことが問題となっていた。MRIを代表とするイメージング手法は腫瘍全体の特徴を捉えることができ、標本摘出部位による診断誤差の発生を回避できる。最近の研究では、LEATにおけるMRIと病理所見との関連が報告されているが、神経画像所見と遺伝型との関連は報告されていなかった。

病変神経画像の特徴に基づく3グループ、BRAF V600EやFGFR1変異と対応

研究グループは、これまでの背景から遺伝子変異の型は病理所見よりもMRI所見と関連する可能性が高いと仮定し、LEATの患者における遺伝子変異の型ごとのMRI画像の特徴とその臨床的意義を調べた。

MRI画像解析(T1・T2・ADCの信号値、mass effectの有無、腫瘍境界の性状、嚢胞成分の有無、外方性発育所見)の階層的クラスタリング解析により、46人の患者の腫瘍病変の神経画像特徴に基づいて、3つの主要なグループが明らかになった。グループ1は、不明瞭な腫瘍境界と、わずかに高いT2強調信号強度を持ち、びまん性のmass effectを伴わない特徴を持っていた。グループ2は、明瞭な腫瘍境界と、非常に低いT1強調信号強度および非常に高いT2強調信号強度を持ち、びまん性のmass effectを伴う特徴を持っていた。グループ3には、びまん性の質量効果を示し、わずかに高いT2強調信号強度を持つ腫瘍が含まれていた。次に腫瘍の手術サンプルの遺伝子解析を行った。遺伝子解析の結果、BRAF V600E遺伝子変異が69.6%に見られ、FGFR1遺伝子変異が16.3%に見られた。画像のグループと遺伝型との対応を見てみると、グループ1の腫瘍はBRAF V600E変異と対応し、グループ2はFGFR1の遺伝子変異と対応していることが明らかになった。グループ3はその他の遺伝子変異と対応していた。

また、FGFR1変異と対応するグループ2の腫瘍では、他のグループよりもてんかん発作の再発率が高いことが示された。

正確な術前診断などの最適な患者ケアに寄与すると期待

今回、LEATには2つの主要な遺伝型に対応する画像グループがあることがわかった。1つ目は、BRAF V600E変異を持つ、境界が不明瞭でくさび形/帯状のやや高いT2強調信号を示す病変である。2つ目は、FGFR1変異を持つ、境界が明瞭で非常に高いT2強調信号を示す外向性増殖する腫瘍である。後者の腫瘍は、腫瘍および発作の再発リスクが高いことと関連していた。

「提案したBRAF V600EおよびFGFR1変異を持つ腫瘍を診断する新しいLEATの神経画像分類は、手術後の発作転帰とも関連している。この結果は、正確な術前診断、適切なLEATの分類、および将来的な分子標的薬の適用を含む、最適な患者ケアに寄与することが期待される」と、研究グループは述べている。

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