同事業は、広告違反に当たる行為を早期発見し、製薬企業の販売情報提供活動を適正化することが目的。MRやメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の販売情報提供活動に関する情報を、選定したモニター医療機関から収集したほか、医療関係者向け専門誌や学会誌、製薬企業ホームページ、医療関係者向け情報サイトについても適切性に疑義がないか2023年度に9カ月間かけて調査を実施した。
その結果、医薬品に関する情報提供について広告違反が疑われたのは18件で、前年度から1件増加した。違反が疑われた医薬品に関する情報の入手方法として、「製薬企業担当者(オンライン・ウェブグループ面談=院内)」が8件で全体の44.4%を占め、次いで「製薬企業担当者(直接対面)」が6件の33.3%で続いた。
前年度は、オンラインを通じた製薬企業担当者からの情報入手が全体の8割超を占めたが、23年度は55.5%と低下した一方、「直接対面」は10ポイント近く上昇した。
その背景として、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類感染症に移行したことの影響で、前年度よりも製薬企業の担当者による直接対面が増加傾向にあると分析している。
広告違反疑いのある18件について、違反が疑われた項目は26件で、前年度から3件増加した。
具体的には、「エビデンスのない説明を行った」が12件(46.2%)で、6年連続で最も高い割合となった。次いで、「有効性のみを強調した」「他社の製品を誹謗・中傷する表現を用いた」が共に各3件(11.5%)で続いた。
エビデンスのない説明を行ったケースとして、耳鼻科用剤の説明会において、企業担当者が治験の評価に関わった医師や権威者の感想を引用して科学的または客観的根拠がない情報提供を行っていたことなどを例示した。これら事例については、企業に対する指導を行っているとした。
今後の課題として、製薬企業と医療従事者に対する販売情報提供活動ガイドライン等の普及啓発や、モニター医療機関以外からの一般報告窓口について、医療関係者からの認知度向上などを挙げた。