5月に公表された産業構造検討会の報告書では、企業間の連携・強力推進、持続可能な産業構造を求めており、厚労省は「産業構造改革の中核を担うべき企業を集めて奮起を促すため」として、後発品企業13社の代表者を集め、意見交換も行った。
あいさつした武見氏は、業界の課題解決に向け「過当競争状態の是正、過度な価格競争からの脱却、規模の経済を生かせる企業規模への再編が必要」と指摘。その上で、業界の理想的な姿として、「数量シェアや品目等の多い企業は再編統合、適切な品目削除によるシェア拡大や生産収益性の向上により、総合商社型の企業に成長していくこと、一定の領域で他をリードする領域特化型の企業は自社の強みを生かした領域に品目を集約し、生産性の確保できる適切な規模の安定的な供給を担うこと」との考えを示した。
また、成分ごとの過当競争を適正化することで過度な価格下落を防ぎ、生産性向上を促す必要もあるとして、「安定供給の観点から成分ごとに適正な供給社数は5社程度が理想的」と述べた。
5社供給となっている53成分のシェアを見ると、シェア1位の企業は40~60%、2位20~30%、3位10~20%としており、安定供給に貢献する可能性がある比率とした。
ただ、企業側からは「何社という数にこだわらず、安定供給に向けて分散されていることが大事」「給与体系が先発品企業に追いついておらず、品目統合に当たっては人の移動や集約など人手確保が難しい」などの意見が出た。
武見氏の考えについて、厚労省は「理想として5社程度ということであり、政策誘導等は今後の検討事項」と説明している。
意見交換では、企業側から「後発品の上市前に先行販売するなど、健全な競争を阻害しているオーソライズドジェネリック(AG)のあり方について、長期安定供給を担うインフラとして理想的な姿を見据えての議論を求めたい」などの声も上がった。
一方で、「公共事業の考え方で大規模設備や多品目生産の改善に取り組みたい。他社と協力して採算性の悪い品目の引き受けを検討している」「個社としてバックアップ生産体制の構築を進めており、堅牢な生産体制の実現に努めたい」など、改革への取り組みに前向きな意見も出た。
薬局現場からも異論が出た。東京都薬剤師会の高橋正夫会長は5日の定例会見で、「5社程度にまとめてしまうと、何か起きた時にもっと大変なことにならないか」と懸念を示した。各メーカーの強みと弱みを補完する品目・企業統合のように、「いかに安定して供給してもらえる体制を考えるかが大事。メーカーの団体が一番分かっているはずなので、そこをしっかり話し合って対応してもらったほうがいいのではないか」と語った。