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24時間365日患者に寄り添う、AI活用メンタルケアサポートシステム開発-岡山大

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2024年07月03日 AM09:00

夜間など物理的に医療スタッフのサポート困難な時間帯のメンタルケアが課題

岡山大学は6月25日、患者の悩みや不安の訴えに24時間365日寄り添う、AIを用いたメンタルケアサポートシステム(以下、AIシステム)を開発したと発表した。この研究は、同大学術研究院医歯薬学域(医)医療情報化診療支援技術開発講座の長谷井嬢准教授()を中心とする研究グループによるもの。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

さまざまな疾患と向きあう患者のメンタルヘルスサポートは非常に重要な分野だ。患者は、治療に伴う身体的な苦痛に加え、将来への不安や恐れ、孤独感など、さまざまな心理的ストレスに直面する。特に、がん患者では、病状の進行や治療の副作用への不安、生活への影響などから、精神的な負担が大きくなることがある。入院中の夜間に押し寄せる不安など、物理的に医療スタッフによるサポートが難しい時間帯のメンタルケアサポートは、解決が難しい課題の一つとして存在している。また、人には話しにくい内容など、どうしても患者が一人で抱えてしまう悩みが存在する。

夜間・休日もいつでも相談可能、話しにくい問題も「AIだけに相談できた」の声

そこで、研究グループは、AIを活用したメンタルケアサポートシステムを開発した。この開発には、岡山大学病院小児医療センターからの協力も得て、専門家の視点で挙動確認が行われた。同AIシステムは、患者の悩みや不安の訴えに24時間365日寄り添い、夜間・休日関係なく、いつでも相談できる存在として機能する。これまでのトライアルで、人には話しにくい繊細な問題について、「AIだけに相談できた」といった患者の意見も寄せられている。

直接的な治療介入なし、共感的なコミュニケーションで不安軽減を目指す

AIは直接的な治療介入は行わず、あくまで患者との対話を通じて、その心理状態を理解し、共感的なコミュニケーションを図ることで、不安や孤独感の軽減を目指している。AIとの会話は、患者が自分の気持ちを表現し、整理する機会にもなる。また、AIによる客観的な視点や適切な言葉かけは、患者の不安を和らげるのにも役立つ。

すでに利用可能な施設も、今後は患者意見を反映した継続的な改善を

研究グループは、今回の取り組みと従来の医療従事者によるサポートを併用することで、より効果的で包括的なメンタルケアを可能にすると考えている。今後は、患者の意見を反映したAIの継続的な改善を行い、より自然で温かみのある対話によりケアが行えるように開発を行っていくとしている。なお、同AIシステムは、すでに岡山大学病院、九州大学病院整形外科、岐阜大学医学部附属病院整形外科、名古屋医療センター小児科、東北大学病院整形外科で患者は利用することが可能。将来的には、このシステムをもっと多くの医療機関へ展開し、より多くの患者のメンタルヘルスサポートに役立てることができればと考えている、と研究グループは述べている。

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