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アレモ、インヒビター保有なし先天性血友病の出血傾向抑制で追加承認-ノボ

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2024年07月01日 AM09:10

1日1回皮下投与の、抗TFPIモノクローナル抗体

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は6月24日、1日1回皮下投与の組織因子経路インヒビター(Tissue Factor Pathway Inhibitor:TFPI)阻害作用を有する「(R)皮下注15mg、同60mg、同150mg、同300mg(一般名:(遺伝子組換え))」について、「血液凝固第VIII因子または第IX因子に対するインヒビターを保有しない先天性血友病患者における出血傾向の抑制」を追加適応とする製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表した。

アレモは血液凝固を阻止する体内のタンパク質「TFPI」を阻害するようにデザインされた、抗TFPIモノクローナル抗体。TFPIを阻害することで、血液凝固因子「トロンビン」の産生を促進し、血液凝固を助け、出血を防ぐ。アレモは、あらゆるタイプの血友病に対し、1日1回の皮下投与で出血を予防する(遷延する自然出血を予防するための定期的投与)薬剤として開発された。2023年9月にインヒビターを保有する先天性血友病患者における出血傾向の抑制を適応症として承認され、今回、インヒビターを保有しない先天性血友病患者に対する適応が追加された。適応追加により、アレモの適応症は「先天性血友病患者における出血傾向の抑制」に変更された。なお、アレモは、インヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子または第IX因子欠乏患者の出血傾向の抑制を対象として、2021年2月19日付で厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けている。

同剤は、これまでに米国および欧州を含む数か国・地域で承認申請を行っており、日本以外でもカナダ、オーストラリア、スイス等数か国においてインヒビターを保有する血友病Aまたは血友病Bにおける出血予防を適応として、承認を取得している(2024年6月20現在)。今回、日本において世界で初めて、インヒビターを保有しない先天性血液凝固第VIII因子または第IX因子欠乏患者の出血傾向の抑制が、適応症として追加承認された。

・Bいずれも、自然出血・外傷性出血を有意に減少

先天性血友病は、外傷性イベント後に止血に必要なプロセスである血液凝固能に異常が生じる希少疾患。世界中で先天性血友病患者数は約112万5,000人と推定されている。先天性血友病Aまたは先天性血友病Bの患者は男性に多く、世界中で先天性血友病と診断されるおよそ88%は男性だ。先天性血友病患者の中にはインヒビターを発生することがあり、インヒビターがあると補充療法の凝固因子が異物とみなされて、免疫システムの反応が起こり、治療が効かなくなる。現在、先天性血友病A患者の30%、先天性血友病B患者の1~10%がインヒビターを保有していると推定される。

インヒビターを保有しない血友病を適応症とする今回の承認は、主に、新たに得られた第3相試験Explorer 8の結果に基づくもの。Explorer 8試験では、主要解析の結果、インヒビターを保有しない血友病A患者において、出血予防を行わなかった群の年間出血回数19.3回に対し、アレモ投与群の年間出血回数は2.7回、また、インヒビターを保有しない血友病B患者では、出血予防を行わなかった群の年間出血回数14.8回に対し、アレモ投与群の年間出血回数は3.1回。血友病AおよびB患者のいずれにおいても、自然出血および外傷性出血が有意に減少したことが示された。また、Explorer 8試験における同剤の安全性・忍容性プロファイルは予測された範囲内であり、治験再開後に血栓塞栓性事象は報告されなかった。

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