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TAK-079、一次性免疫性血小板減少症対象P2b試験の最新データ公表-武田薬品

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2024年06月28日 AM09:48

CD38発現細胞に高い親和性を有する完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体

武田薬品工業株式会社は6月24日、持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の患者を対象としたmezagitamab()の安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2b相試験の良好な結果を第32回国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress:ISTH)のLate-Breakthrough Sessionで発表した。

ITPは希少なIgG介在性自己免疫疾患で、出血防止や止血を担う血液細胞である血小板(および/または巨核球)に対する自己抗体の発現によって部分的に引き起こされる疾患。血小板産生障害の有無にかかわらず血小板の破壊亢進を特徴とし、その結果、血小板数が減少し出血リスクが高まる。出血リスクが高まると身体の衰弱につながる可能性があり、重症例では生命が脅かされる場合もある。ITPを適応とした新薬承認の取得事例より、持続的に血小板数を5万/μL以上に維持する必要があるが、患者の約20%は治療を受けても血小板数が5万/μL以上にならず、忍容性の高い治療薬に対するアンメットニーズが残っている。

TAK-079は完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体()であり、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有し、これらの細胞を減少させる。TAK-079による治療は血小板反応の迅速かつ持続的な改善をもたらすようデザインされており、通常、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで回復させる。同剤はこれまでに、米国食品医薬品局(FDA)からITPの治療薬として希少疾病用医薬品()指定、慢性/持続性ITPの治療薬としてファストトラック指定を受けているが、どの医薬品規制当局からも使用が承認されていない治験薬だ。

持続性/慢性ITP患者におけるTAK-079の安全性や有効性を評価する試験の中間解析結果

今回ISTHで発表されたデータは、持続性もしくは慢性のITP患者を対象としたTAK-079の安全性、忍容性および有効性を評価する臨床第2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験の事前に規定された中間解析によるもの。同試験は2つのパートからなり、パートAでは25例をTAK-079 100mg、300mg、またはプラセボに無作為に割り付け(1:1:1)、パートBでは16例をTAK-079 600mgまたはプラセボに無作為に割り付けた(2:1)。被験者にTAK-079またはプラセボを週1回、8週間にわたり皮下投与した後、8週間を超えて安全性追跡調査を行った。

主要評価項目は、グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、および投与中止に至った有害事象を含む、試験治療下で有害事象を発現した患者の割合。また副次評価項目には、血小板反応(血小板数が5万/μL以上かつベースラインから2万/μL以上の増加)、血小板反応の完全寛解(血小板数が10万/μL以上)、臨床的に意義のある血小板反応(血小板数がベースラインから2万/μL以上増加)、止血血小板反応(ベースラインの血小板数が1万5,000/μL未満で血小板数が3万/μL以上かつベースラインから2万/μL以上増加した被験者)が含まれている。さらに、全ての副次評価項目について過去4週間に治験薬投与期間中に許容される救済治療を受けておらず、かつ直近に他の救済治療も受けていない状況において、2回以上の来院時に血小板数の基準を達成しなければならないとしている。

TAK-079投与で血小板数が迅速・持続的に改善し、8週間持続

試験の結果、評価した3つの用量すべてにおいて、プラセボと比較してTAK-079の投与により、血小板反応が大幅に改善することが示された。TAK-079群では、血小板数の迅速かつ持続的な増加(治療閾値5万/μL以上)が認められ、その効果が最終投与(8週目)から16週目まで8週間持続したことから、血小板反応が迅速かつ治療後の効果も示された。

評価した血小板反応における全ての指標は、TAK-079 600mg群で最も高く、具体的には81.8%が血小板反応の完全寛解、90.9%が臨床的に意義のある血小板反応、100%が止血血小板反応を達成した。疾患活動性に関連した出血性の有害事象が1件以上発現した患者は、TAK-079群の方がプラセボ群よりも少ない結果となった(17.9%対46.2%)。

なお、同社はITP患者を対象としたTAK-079の国際共同臨床第3相試験を2024年度下期に開始する予定。

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