厚生労働省は24日付で、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス剤「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症の効能を追加する一部変更承認が行われたことを踏まえ、承認条件を一部変更したことを周知した。厚生労働大臣の要請がない限りは製造販売を行わないとする記載は削除した一方、引き続き厳格な流通管理と安全対策の実施を求めた。
アビガンをめぐっては、既存の抗インフルエンザウイルス剤と異なる作用機序を持ち、新型・再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、国が同剤を必要と判断した場合に限って患者への投与ができる。
しかし、今回、同社がマダニ媒介感染症であるSFTSウイルス感染症の効能を追加する一部変更承認を取得したことから、承認条件も変更した。
具体的には、「厚生労働大臣が要請しない限りは製造販売を行わないこと」との一文を削除した。また、予め患者・家族に有効性・危険性について文書で説明し、文書による同意を得てから初めて投与されるよう厳格かつ適正な措置を取るとの記載も削除した。
同剤が承認されている効能・効果においてのみ使用されるよう、厳格な流通管理と十分な安全対策を実施することとした。
SFTSについては、国内での治験症例が極めて限られることから、製造販売後、一定数の症例に関するデータが集積されるまでの間は全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、安全性・有効性に関するデータを早期に収集することなどを記載した。
一方、厚労省は、同日付で製造販売承認されたノバルティスファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症治療剤「ファビハルタカプセル」(イプタコパン塩酸塩水和物)に関する留意事項も周知した。
具体的には、同剤は補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等による重篤な感染症を発症することがあり、特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化して死亡に至る恐れもあるとし、発症リスクに特段の留意が必要とした。
そのため、投与に際しては、髄膜炎菌等による感染症の初期兆候に注意して観察を十分に行い、重篤な感染症が疑われた場合は直ちに診察し、抗菌薬等の投与など適切な処置を行うよう求めた。