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【福島県】在宅に強い薬剤師養成へ-病院薬剤師の参画も促す

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2024年06月26日 AM11:52

福島県は、2024年度からスタートした第8次医療計画で在宅対応を強化するため、在宅患者に積極的な介入を行う「」の養成を目指す。県主催で在宅で必要となる医療機器や衛生材料等に関する知識の習得、フィジカルアセスメント実習を強化する研修のほか、無菌調剤に対応できる薬剤師を育成するため、福島県薬剤師会が実施している研修会の実施費用も補助する。薬局薬剤師だけではなく、病院薬剤師にも研修受講を促し、在宅医療にも参画してもらうことで、将来の在宅医療ニーズに対応していきたい考えだ。

福島県は、福島市や郡山市など中核市を含む2次医療圏が薬剤師多数区域となっており、他県に比べて在宅医療のニーズに応じやすい体制を作り上げてきた。

在宅の体制整備では、福島県薬の取り組みと連携し、▽癌診療連携拠点病院の薬局薬剤師研修支援事業▽無菌調剤室整備支援事業▽多職種連携による薬局・薬剤師の在宅医療サービス推進事業――などの事業に取り組んできた。人口10万人当たりの「訪問薬剤管理指導を受けた患者数」は全国平均を大きく上回る実績がある。

休日夜間の対応については、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等への対応のために各地域薬剤師会で輪番体制等の対応が図られ、福島県薬のホームページには休日・夜間に開局している薬局の情報が掲載されるなど住民への情報提供が進んできた。一方で、へき地や避難地域を含めた県内全域での医薬品提供体制の確保が課題だった。

こうした状況を受け、無菌調剤室やクリーンベンチを持つ薬局の体制整備を進めると共に、無菌調剤など高度な在宅に対応した人材の養成を進めていく考えだ。今年度は昨年度に引き続き、在宅エキスパート薬剤師人材育成強化事業を実施する。

県は約150万円の予算を投じ、在宅医療に取り組む経験豊富な専門医や訪問看護師による講義、生体シミュレーターを用いたフィジカルアセスメント実習を実施する。在宅で必要となる医療機器や衛生材料等の知識も習得できる。

県内の地域薬剤師会を対象とした研修会に対する補助金も今年度予算で約200万円交付するほか、多職種連携による薬局・薬剤師の在宅医療サービス推進事業では、訪問診療を行う医師とのお試し同行も行っており、在宅を経験していない薬剤師が現場を見て学ぶ機会も提供する。

今年度の診療報酬改定では、薬局の在宅サービスに対する評価が手厚くなり、研修参加に前向きな薬剤師が増えることに期待する。第8次医療計画の2026年度時点における中間目標では、症状急変時における「24時間対応の薬局数」を増加させ、全国平均まで引き上げたい考えだ。

在宅の体制整備には薬局薬剤師の養成に加え、病院薬剤師の参画も欠かせない。昨年度も病院薬剤師から研修受講者があり、今年度はより在宅医療に関心を持ってもらえるよう病院薬剤師向けのPRも検討している。

保健福祉部薬務課の風間秀元薬務課長は、「病院薬剤師の確保とセットで在宅医療に参画する病院薬剤師を増やし、在宅医療を担う人材強化に取り組んでいきたい」との意向を示す。

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