厚労省は、地域における薬局機能について個々の薬局に必要な機能と地域・拠点で確保すべき機能の二つに整理した。個々の薬局には、▽OTC医薬品販売▽調剤・服薬指導(外来)▽在宅可能な薬局と連携し、対応可能な薬局の紹介を行う在宅対応に向けた連絡調整――の三つの機能を実装するよう求める。外来の夜間・休日対応は、輪番制や拠点となる薬局が対応するとした。
その上で、個々の薬局に必要な機能に加え、地域・拠点で確保すべき機能のうち在宅対応を行う薬局を「地域連携薬局」、健康相談対応を行う薬局を「健康サポート薬局」に整理する案を示した。
現在、地域連携薬局は「入退院時の医療機関等との情報連携や、在宅医療等に地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応できる薬局」と定義されているが、厚労省が示した新たな地域連携薬局像は、在宅対応機能をより強調させたものとなっている。地域の薬局が対応できない場合にその薬局からの依頼を受け、連携して在宅に対応することや、夜間・休日を含む計画外の臨時対応を実施していることを地域連携薬局の「必須となる機能」とした。
さらに、在宅の臨時対応に加え、無菌製剤処理(自薬局または連携による対応)や医療用麻薬調剤を実施する薬局については、上位の地域連携薬局とする2段階の認定方式を提案している。
一方、健康サポート薬局は、かかりつけ薬局としての機能を前提に、「地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する機能を有する薬局」と位置づけた。処方箋のない人も含め、地域住民の健康保持増進等に関する相談を幅広く受け入れ、自治体と連携しながら必要な機関につなげることが重要とした。
この日の検討会で安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は「医療用麻薬調剤については8割程度の薬局が免許を取得している」と述べ、地域連携薬局の必須機能として位置づけるよう求めたが、他の構成員からは「地域の実態に合わせて地域連携薬局に求められる在宅対応機能を検討すべき」との声も出た。
健康サポート薬局をめぐって、三澤日出巳座長代理(慶應義塾大学薬学部教授)は「処方箋を持たない人に健康相談を行う場合はインセンティブがない。何らかのインセンティブを与えて、処方箋を持たない人にもきちんと対応する機能を持った薬局を形として国民に示すことが必要」と投げかけた。藤井江美構成員(日本保険薬局協会副会長)も「調剤報酬と連動すると取り組みやすくなる」と対応を求めた。