日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会の研究報告によると、後発品企業区分で安定供給体制などの評価が高いA区分企業の品目のうち一定条件を満たした場合に、薬価の3価格帯より高い価格帯(特例別集約)となる「特例後発品」の対象品目のうち適用されたのは10.9%だった。適用されなかった理由として推察されることを企業側に確認したところ、いずれも「乖離率要件を満たさなかったため」との回答があったという。運用の改善を求める意見が挙がった。
薬価研運営員会社55社、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)会員社30社、米国研究製薬工業協会(PhRMA)・欧州製薬団体連合会(EFPIA)会員社22社の87社を対象に調査したもの。
その結果、A区分企業は新薬系企業3社、後発品系企業11社、その他1社の計16社。そのうち、特例後発品のある企業は後発品系の7社、その他1社だった。
特例後発品の対象は、▽新規後発品が収載されてから5年以内▽安定確保医薬品カテゴリAまたはB――のいずれかの品目で、835品目が対象となった。
対象品目のうち適用されるには、▽全ての既収載後発品の平均乖離率以内の品目であること▽後発品のうち最も高い価格帯となる品目であること▽製造販売業者自らの原因により供給に支障に生じてない品目であること――の全てを満たさなければならず、適用されたのは対象品目の10.9%の91品目だった。
調査では、運用の改善を求める意見が寄せられた。対象品目については、「安定供給医薬品Cに該当する品目まで拡充してはどうか」「収載から10年以内など、年数の幅を広くしていただきたい」「過去に不採算再算定が適用された品目の追加を希望する」などの意見が挙がった。
適用条件については「乖離率は製薬企業が関与できないため、平均乖離率で判断することは適当でない」「販売中止企業の代替を受けた場合、販売中止企業の価格で納入されてしまい、乖離率が広がる事象も生じていることを考慮いただきたい」などの意見が出た。