評価指標は「従業員の成長や働きがい」(7項目)、「経営陣のコミットメント」(7項目)、「改善活動」(5項目)、「コミュニケーション」(5項目)、「環境、健康、安全」(4項目)に分け、それぞれの評価指標について設問を作成する。回答は5段階で評価レベルを設定し、現状に最も近いものを選択してもらう。
回答者も「経営陣」「管理職」「非管理職」の三つの階層に分類し、各設問における5段階の評価レベルを「0~4点」で集計する。標準的に管理されている状態を2点とし、品質文化を醸成させる上での弱点を定量的に把握する。
例えば、「法令違反、規定違反等の早期発見」(内部通報制度)の評価指標で、「法令違反、規定違反等の早期発見と未然防止を目的とした内部通報制度があるか」との設問を作成した場合に、現状に最も近いものとして「内部通報制度はない」を選んだ場合には、「全くできていない」(0点)とし、「内部通報制度はあるが、実際に機能できていない」は「一部できている」(1点)、「内部通報制度があり、適時に使用できるよう従業員に周知されている」は「できている」(2点)と評価する。
積極性や先見性も評価し、「内部通報制度があり、適時に使用できるよう従業員に周知され、会社や上司は定期的にその制度を説明している」と回答すれば、「できている+積極性」(3点)、「内部通報制度があり、適時に使用できるよう従業員に周知され、会社や上司は定期的にその制度を説明している。また、適時に使用することが会社や上司に推奨されている」は、「できている+積極性、先見性」(4点)となるイメージだ。「分からない」(0点)の選択肢も用意し、六つの評価レベルの文章で提示する。
同ツールで現状を評価し、その後は各社が経営層によるメッセージ発信やワークショップの実施などギャップ改善策を決定し、実行するのが望ましいとしている。さらに、改善策の効果検証と次の課題設定についても、再度同ツールを用いてアンケートの実施からギャップ分析、改善策の決定とサイクルを回すことで、品質文化の醸成に役立てていく。
既にジェネリック製薬協会では、後発品の信頼回復に向けた取り組みの一環として、2022年度に同評価指標を用いたアンケートを実施しており、「品質文化の醸成に対する意識は、階層によって異なることなどが可視化できた」と評価している。