政府は11日、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)の原案を経済財政諮問会議に示した。2025年度の中間年薬価改定については「イノベーション推進、安定供給確保、国民皆保険の持続可能性を考慮しつつ、具体的なあり方を検討する」とし、実施範囲に関する言及はなかった。一方で、薬価制度における費用対効果評価の適用拡大については検討することを明記した。少量多品種の生産構造が課題となる後発品については「業界再編を視野に構造改革を促す」ことを盛り込んだ。
原案では、医療分野の基本方針と重要課題として、創薬力の強化等ヘルスケアの推進を明記した。具体的には、「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」の中間取りまとめを踏まえ、革新的医薬品候補のファーストインヒューマン(FIH)試験を実施できる国際競争力のある臨床試験体制の整備、臨床研究中核病院の承認要件見直し、治験薬・バイオ医薬品の製造体制整備、人材育成・確保など、有望なシーズを速やかに実用化する国際水準の研究開発環境の実現に取り組む。
官民協議会による外資系企業・ベンチャーキャピタル(VC)の呼び込み等を通じ、早期段階で新たな研究開発資金が投じられるよう推進体制の整備も含めて創薬エコシステムの再編成を図ると共に、大学病院等の研究開発力の向上に向けた環境整備、日本医療研究開発機構(AMED)の研究開発支援を通じて研究基盤を強化し、創薬力の抜本的強化を図るとした。
ドラッグロス対応として薬事上の措置を検討し、年末までに結論を得るほか、承認審査と相談体制の強化等を推進する。
一方、後発品については、業界の理想的な姿を見据え、「業界再編を視野に入れた構造改革を促す」と記載。安定供給に関する法的枠組みを整備し、バイオシミラーの使用促進も行うことを盛り込んだ。抗菌薬については、国内製造の原薬が継続的に用いられる環境整備のための枠組みや一定の国内流通量を確保する方策を検討し、今年度中に結論を得ることとした。
スイッチOTCの推進でセルフケア・セルフメディケーションを進めつつ、薬剤自己負担の見直しを引き続き検討する。医療・介護保険の改革として、多剤重複投薬や重複検査等の適正化に向けた実効性のある仕組みを整備することを求めた。