高齢化と在宅医療需要の高まりの中で、薬剤師による訪問薬剤管理指導(医療保険)や居宅療養管理指導(介護保険)の重要性が指摘されているが、訪問薬剤管理指導等を受けている患者の特徴や実施している薬局の実態は明らかになっていないのが現状だ。
そこで研究班は、自治体の医療介護レセプトデータベースを用いて、在宅における訪問薬剤管理指導等を受けている患者の人数や、特徴、薬局の実態を調べた。
茨城県つくば市の国民健康保険・後期高齢者医療制度の医療・介護保険レセプトデータを用いて、14~18年度に訪問薬剤管理指導等を受けていた患者を対象に研究を実施した結果、訪問薬剤管理指導等を受けた患者は18年度で14年度と比べて1.5倍であり、年齢や要介護度で調整を行うと18年度は14年度の1.7倍と増加していた。
ただ、届け出ている薬局のうち、実際に各年度で訪問薬剤管理指導等を行っていたのは14年度が48.3%、15年度が61.8%、16年度が63.2%、17年度が58.5%、18年度が55.4%となった。
14~18年度までの5年間で1度でも訪問薬剤管理指導を行った薬局を尋ねると、18年度では約77%と各年度の結果よりも実施率が上がっていた。
訪問薬剤管理指導等を受けた患者のうち65歳以上が90%前後を占め、障害高齢者自立度A1~A2、認知症高齢者IIb~IIIaがそれぞれ50%前後を占めていた。有料老人ホーム・グループホーム入居者は全体の40~50%だった。
研究班は、届け出ている薬局と応需している薬局の差が生じる理由について、「訪問薬剤管理指導等への需要に対して届け出ている薬局数に余裕がある可能性もあり、需要があっても何らかの理由で訪問薬剤管理指導等が行えていない薬局が存在している可能性もある」と指摘した。
訪問薬剤管理指導等が行えない理由としては、設備的問題による無菌調整の実施や、人員的問題で夜間・休日対応や往診同行、退院時カンファレンス参加、居宅介護サービス担当者会議への参加が難しいとの要因を挙げた。
そのほか、研究班は、各薬局における薬剤師の経験や知識、薬局に対する他施設からの認知度の問題なども関連している可能性や、ケアプランへの訪問薬剤管理指導導入の有無、訪問診療の有無も関連しているとした。
今回の結果から、研究班は「どのような要因で届け出ている薬局の数と実際に行っている薬局の数の差が生じているか、今後検討する必要性が示唆された」としている。