調査回答者全体の約8割が「アクセス改善を全く感じていない、もしくは感じていない」と回答し、今後変わってほしいこととして「対象薬局を増やしてほしい」が94%に達した。一方、試験的運用での設定価格「7000~9000円」に対し、「確実に入手できる」と答えたのは3%にとどまり、約6割は「2000円未満」を求めるなど、入手可能な価格に大きな開きがあることが判明した。
調査は4月1~21日に、緊急避妊薬の薬局における試験販売の現状とそれに関連する当事者のニーズを把握するため、厚労省の調査事業で「緊急避妊薬を薬局で入手した人」「緊急避妊薬を薬局で入手しようとしたができなかった人」の68人を対象にアンケートを実施した。
同事業を通じて、緊急避妊薬を薬局で購入した人は15%にとどまり、緊急避妊薬を薬局で購入を試みたができなかった人が85%と大多数だった。
試験的運用によって全体の79%がアクセス改善を「全く感じていない」「感じていない」と回答し、購入できた人では60%、購入できなかった人では83%がアクセス改善を感じていない結果となった。
緊急避妊薬の入手を断念した人の68%が特設ホームページに辿り着くものの、対象薬局に電話をかけるところで82%が断念していた。「試験的運用の対象薬局数が少ない」「(対象店舗が)都心部ではなくアクセスが悪い」との声も多く、対象薬局が広がれば、薬局でのアクセスを確保できた可能性があることがうかがえる結果となった。
また、薬局で入手できた10人中、全員が72時間以内に服用し、そのうち24時間以内に服用できた人は90%に達した。一方、薬局で入手ができなかった人のうち、72時間以内に服用できた人は29%、そのうち24時間以内に服用できた人は14%と入手ハードルが高い現状にあった。
今後変わってほしいこととしては、「対象薬局が増えてほしい」が94%、「情報が手に入りやすくなってほしい」が82%、「価格を下げてほしい」が80%となった。
そのうち、設定された価格の7000~9000円で「確実に入手できる」と答えた人はわずか3%と少なく、約6割が確実に入手できる額として「2000円未満」と回答した。
希望する情報周知方法では、「学校での性教育の充実」が最多で86%、次いで「緊急避妊薬の取り扱いがない薬局でも案内を出す」が80%となった。
購入できなかった人からは、「アクセス面、金銭面、精神面でも非常に高いハードルを感じる。緊急性も必要性もあるのに、なぜこんなにも手に入りづらいシステムになっているのか理解できず、憤りすら覚えている」とのコメントもあった。
今年度の試験的運用では昨年度から参加薬局を200薬局増やす方針が示されているが、NPO法人ピルコンの染矢明日香氏は10日、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」の勉強会で「全国の薬局約6万軒の1%にも満たない」と指摘。「国の調査と市民が求めるアクセス改善の認識には乖離がある。迅速に薬局で手に入るようOTC化の環境整備をしてほしい」と語った。