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肺がん検診受診意向、大学生の調査で7割が「将来受診の意思あり」-中部大

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2024年06月11日 AM09:10

若いうちから肺がん検診の受診意思を高めるためには?

中部大学は6月7日、同大の大学1~4年生を対象に、「将来肺がん検診を受診する意思があるか」という意識調査を実施し、その結果、アンケートに回答した約6,500人のうち、約70%が受診する意思があることがわかったと発表した。この研究は、同大生命健康科学部保健看護学科の森幸弘講師、同大スポーツ保健医療学科の伊藤守弘教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「healthcare」(Basel)オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

厚生労働省が公表した「2022年の人口動態統計(確定数)」を基に日本対がん協会が整理した部位別がん死亡者数の順位によれば、肺がんが男性では1位、女性でも大腸がんに続いて2位と高い。一般に初期の肺がんは自覚症状を伴うことが少なく、早期発見と早期治療が不可欠である。ところが日本で40歳以上に推奨されている肺がん検診の受診率は50%前後と決して高くない。受診率を高めるため、若いうちから将来肺がん検診を受診しようとする意思に関わる要因を明らかにすることは、公衆衛生や予防医学の観点から重要である。

マイナス因子は「」「がん発見の可能性に対する不安」など

今回、同大大学生を対象にアンケート調査を行い、回答した約6,500人のうち、約70%が受診する意思があることがわかった。また、ロジスティック回帰分析により、大学生が将来肺がん検診を受診する意思に関連する要因を分析した。その結果、喫煙する学生は、非喫煙者に比べて、将来肺がん検診を受ける意思がないと回答する比率が高かったことがわかった。喫煙は、肺がんの危険因子のひとつとして広く認識されている。今回の調査結果は、喫煙する若者に対して肺がんに罹患するリスクを理解させる教育の必要性を示している。

さらに、「将来のがん罹患への不安」や「肺がん検診受診のメリットの認識」が、肺がん検診受診意思につながるプラス要因であることも明らかになった。一方で、「肺がん検診受診によるがん発見の可能性に対する不安」や「受診年齢を先延ばしにしようとする意識」「検査内容への不安」などは肺がん検診受診意思に対してマイナスの要因であることが判明した。これらの結果は、若年層が将来の検診受診に対する不安と利点の間のジレンマを克服できるような教育を提供することの重要性を強調するものである。

若いうちから継続したがん教育支援体制の構築が課題

近年、日本では、AYA(Adolescents and Young Adults:思春期・若年成人)世代のがん対策のあり方が報道でもクローズアップされている。若年層では、上の年齢層に比べて全体的にがんの発生頻度が低く、発見・診断が遅れる可能性が高い。そのため、できるだけ若い年齢から継続した受診行動につなげられるような環境作りと、教育支援体制の構築が課題と言える。さらに肺がん検診の内容は、一般には認知されていないことも多いため、安心して受けられるような取り組みも必要である。日本では依然として肺がん検診が十分に活用されていない現状にある。また、一般的に大学生は肺がん検診の存在を知らない可能性もある。

「大学生は、肺がん検診の推奨年齢に達していないが、がん予防の実践に関する意識や知識を高めることができる重要な集団のひとつである。研究成果は、肺がんや禁煙について、大学生への効果的な教育方法の検討に役立つ可能性がある」と、研究グループは述べている。

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